未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
82

新潟県十日町市

「日本三大薬湯」を知っているだろうか。有馬温泉、草津温泉、松之山温泉。有馬と草津は有名だが「松之山」はあまりに未知である。世にも珍しい1000万年前の化石海水であり、通常の15倍の濃度と言われる松之山温泉の効能とは?

文= 志賀章人
写真= 志賀章人
未知の細道 No.82 |10 January 2017
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新潟県

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#1ほんとうに効くの?

「日本三大薬湯」を知っているだろうか。有馬温泉、草津温泉、松之山温泉。有馬と草津は有名だが「松之山」は……

この話を聞いたのはもう8回目ぐらいだ。はじめは「へぇ!」と驚いたのだが、それから話を聞いてまわっても、同じ話しか聞き出せない。「どんな薬効があるんですか?」と聞いても、「それは……」と相手を困らせてしまうことになるのだ。

もしかして、と、ぼくの頭に疑惑が生まれる。

「日本三名泉」は、有馬温泉、草津温泉、下呂温泉。
「日本三大古湯」は、有馬温泉、道後温泉、白浜温泉。
「日本三大美人の湯」は、川中温泉、龍神温泉、湯の川温泉。

「日本三大●●」なんていくらでもある。ようは、体のいいキャッチコピーみたいなものではないか?

温泉に張り出された効能を見てみても。

「一般的適応症」は、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔病、冷え症、病後回復期、疲労回復、健康増進。
「泉質別適応症」は、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病。

これは松之山温泉に限らないが、こういう表記は完全に形骸化している。どの温泉も同じにしか見えないのだ。

もしも、本当にそれだけだったなら、こうして記事など書いてはいない。

事実、ぼくは松之山温泉に浸かった瞬間、薬湯としか思えない薬効をバリバリと肌で感じたのだ。旅ばかりしている仕事柄、温泉に入る機会は多いのだがこれほど実感したのは初めてだった。

そして、それからというもの。ぼくは完全にクスリ漬けになってしまったのだ。

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未知の細道 No.82

ライター 志賀章人(しがあきひと)

「え?」が「お!」になるのがコピーです。
コピーライターとして、核を書くことで、あなたの言葉にならない想いを言葉にします。
京都→香川→大阪→横浜で育ち、大学時代にバックパッカーとしてユーラシア大陸を横断。その後、「TRAVERINGプロジェクト」を立ち上げ、「手ぶらでインド」「スゴイ!が日常!小笠原」など旅を通して見つけたモノゴトを発信中。次なる旅は、夫婦で世界一周!シェアハウス暦8年の経験から、子育てをシェアする未来の暮らしも模索中。
伝えたいことを、伝えたいひとに、伝えられるようになる。そのために、仕事のコピーと、私事の旅を、今日も言葉にし続ける。
「新聞広告クリエーティブコンテスト」「宣伝会議賞」「販促会議賞」など受賞・ファイナリスト多数。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。