新潟県十日町市
「日本三大薬湯」を知っているだろうか。有馬温泉、草津温泉、松之山温泉。有馬と草津は有名だが「松之山」はあまりに未知である。世にも珍しい1000万年前の化石海水であり、通常の15倍の濃度と言われる松之山温泉の効能とは?
最寄りのICから関越自動車道「塩沢石打IC」を下車
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「日本三大薬湯」を知っているだろうか。有馬温泉、草津温泉、松之山温泉。有馬と草津は有名だが「松之山」は……
この話を聞いたのはもう8回目ぐらいだ。はじめは「へぇ!」と驚いたのだが、それから話を聞いてまわっても、同じ話しか聞き出せない。「どんな薬効があるんですか?」と聞いても、「それは……」と相手を困らせてしまうことになるのだ。
もしかして、と、ぼくの頭に疑惑が生まれる。
「日本三名泉」は、有馬温泉、草津温泉、下呂温泉。
「日本三大古湯」は、有馬温泉、道後温泉、白浜温泉。
「日本三大美人の湯」は、川中温泉、龍神温泉、湯の川温泉。
「日本三大●●」なんていくらでもある。ようは、体のいいキャッチコピーみたいなものではないか?
温泉に張り出された効能を見てみても。
「一般的適応症」は、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔病、冷え症、病後回復期、疲労回復、健康増進。
「泉質別適応症」は、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病。
これは松之山温泉に限らないが、こういう表記は完全に形骸化している。どの温泉も同じにしか見えないのだ。
もしも、本当にそれだけだったなら、こうして記事など書いてはいない。
事実、ぼくは松之山温泉に浸かった瞬間、薬湯としか思えない薬効をバリバリと肌で感じたのだ。旅ばかりしている仕事柄、温泉に入る機会は多いのだがこれほど実感したのは初めてだった。
そして、それからというもの。ぼくは完全にクスリ漬けになってしまったのだ。
ライター 志賀章人(しがあきひと)