未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
268

能登島に生まれて育った男の島にかける想いが紡ぐ物語 被災したミナミバンドウイルカを訪ねて

文= きえフェルナンデス
写真= きえフェルナンデス
未知の細道 No.268 |11 November 2024
この記事をはじめから読む

#9イルカウォッチングの再開

現在、山水荘では、イルカウォッチングやイルカスイムを再開している。民宿はなんとか営業できる状態まで戻り、2組限定で予約が可能になった。石田さんはこう語る。

「まずは一歩ずつ。一歩ずつ元通りにしていかないと。道のりは遠いですけど、がんばっていきたいです。その次に、未来のこと。能登島が盛りあがる活動をまたやりたいですね」

1時間ほどイルカを堪能したあと、船は、桟橋に戻ってきた。桟橋には次のグループが待機している。

私は船から下りると、来年の夏に子どもと一緒に次はイルカスイムで参加します、と伝えた。

「いつでもお待ちしてますね」

参加者にライフジャケットを渡す石田さん。

石田さんは目尻をくしゃっとさせながら挨拶をすると、他のダイバー達を乗せて、船に乗り込みイルカのもとへと戻っていった。

帰り道、豪雨と予報されていた能登島の空を見上げると、遠くの雲は晴れ青空が近づいていた。

能登島に架かる橋のひとつ能登島大橋は復旧し、今日も観光客を迎え入れている。(写真:金山純子さん)
このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。