今回の参加者は、私を含め、9名。名古屋のダイビングショップ「わっしょいダイバーズ」から6名、被災地支援チーム「Team Japan」に所属している埼玉県在住の2名が参加していた。全員、イルカと一緒に泳ぐ、イルカスイムをするという。
私はというと、日程に縛りがあったため今回は泳ぐために必要な準備ができず、イルカウォッチングでの参加となった。悔しい……が仕方ない。
船のエンジンが止まり静かになると、イルカスイムをする参加者は、シュノーケルを装着しフィン(足ヒレ)をはいた。準備した人から次々とイルカの方向を向き、飛び込んでいく。
「では、皆さん、いってらっしゃい」
石田さんがダイバー達を見送る。私も一緒に飛び込みたい衝動に駆られる。
「イルカが浅瀬にいますよー。もっと右側に行ってくださーい」
石田さんはやわらかな声でガイドをする。参加者が、続々とイルカに向かって泳いでいく。
「ここにいるよー!」
参加者のひとりが歓喜の声をあげている。
イルカの群れは、10分間ほど参加者のまわりを行ったり来たりしていたが、ぱたりと姿が見えなくなった。移動したようだ。
参加者たちが、船に戻ってくる。
「キャー! すごかった!」シュノーケルを外しながら、興奮している。
「すぐそこにいたよ。 足元を通っていった。今日はかなり近くで見えたね。かわいかったあ!」
海の中ではどんな風に見えるのだろう。
「すごい速さで通り過ぎていくから追うのに必死! あ、近づいて来たと思ったら次の瞬間にはいなくなってしまうけど、一緒に遊んでるような気分になります」
参加者のひとりが目をキラキラさせ、息を切らしながら教えてくれた。