未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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能登島に生まれて育った男の島にかける想いが紡ぐ物語 被災したミナミバンドウイルカを訪ねて

文= きえフェルナンデス
写真= きえフェルナンデス
未知の細道 No.268 |11 November 2024
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#3名古屋と埼玉から集まった参加者

石田さん(左後ろ)と金山さん(右後ろ)。「わっしょいダイバーズ」、「Team Japan」の皆さんと一緒に。

今回の参加者は、私を含め、9名。名古屋のダイビングショップ「わっしょいダイバーズ」から6名、被災地支援チーム「Team Japan」に所属している埼玉県在住の2名が参加していた。全員、イルカと一緒に泳ぐ、イルカスイムをするという。

私はというと、日程に縛りがあったため今回は泳ぐために必要な準備ができず、イルカウォッチングでの参加となった。悔しい……が仕方ない。

船のエンジンが止まり静かになると、イルカスイムをする参加者は、シュノーケルを装着しフィン(足ヒレ)をはいた。準備した人から次々とイルカの方向を向き、飛び込んでいく。

「では、皆さん、いってらっしゃい」

石田さんがダイバー達を見送る。私も一緒に飛び込みたい衝動に駆られる。

「イルカが浅瀬にいますよー。もっと右側に行ってくださーい」

石田さんはやわらかな声でガイドをする。参加者が、続々とイルカに向かって泳いでいく。

能登島のイルカと泳ぐドルフィンスイマーさん(写真提供:金山純子さん)
赤ちゃんイルカは他のイルカに比べて色が薄い。(写真提供:山水荘)

「ここにいるよー!」

参加者のひとりが歓喜の声をあげている。

参加者の横を通り過ぎていくイルカ。

イルカの群れは、10分間ほど参加者のまわりを行ったり来たりしていたが、ぱたりと姿が見えなくなった。移動したようだ。

参加者たちが、船に戻ってくる。

「キャー! すごかった!」シュノーケルを外しながら、興奮している。

「すぐそこにいたよ。 足元を通っていった。今日はかなり近くで見えたね。かわいかったあ!」

海の中ではどんな風に見えるのだろう。

「すごい速さで通り過ぎていくから追うのに必死! あ、近づいて来たと思ったら次の瞬間にはいなくなってしまうけど、一緒に遊んでるような気分になります」

参加者のひとりが目をキラキラさせ、息を切らしながら教えてくれた。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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