未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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ショーケースにずらりと並ぶ自家製ハムが圧巻! 「ここだけ」のハムの味を求めて全国からファンが集まる豚のレストラン

文= ロマーノ尚美
写真= ロマーノ尚美
未知の細道 No.266 |10 October 2024
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#2食肉店なんて目じゃない、ショーケースに並ぶお肉たち

「IL COTECHINO」は、山形県庁前から山形駅に続く目抜き通り沿いにあった。

入り口は奥まったところにあり、ぱっと見にはレストランだとわからない。真っ先に目に止まるのはイタリアの車メーカー、フィアット社の鮮やかな赤い500(チンクエチェント)。バジリコやサルビア、ローズマリーの植木鉢に囲まれた外観は、オシャレな民家のようだ。

「IL COTECHINO」の外観

「朝まで仕込みをやってたもんで」

やや充血した眠そうな目で迎えてくれたシェフの佐竹さん。招き入れられた店内の奥に視線が吸い寄せられた。10メートルぐらいはあるだろうか、壁一面に広がるショーケースには数えきれない肉、肉、肉。こんな光景、食肉専門店でも見たことがない。

店内の奥、壁一面に広がったショーケース
ぎっしりと肉が吊るされ、並んでいる

これをぜんぶ佐竹さんが手掛けたのか。
朝まで仕込みしてたっていうけど、どんな作業なのか。

頭のなかにクエスチョンマークが増えるとともに、これから聞けるであろう話への期待が高まる。

使い込まれた木が放つ鈍い輝きを持つテーブルに座った私は、佐竹さんの人生に前のめりで耳を傾けることにした。それが自分を懐かしい「あの頃」に連れ戻してくれるとは知らず。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。