未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
266

ショーケースにずらりと並ぶ自家製ハムが圧巻! 「ここだけ」のハムの味を求めて全国からファンが集まる豚のレストラン

文= ロマーノ尚美
写真= ロマーノ尚美
未知の細道 No.266 |10 October 2024
この記事をはじめから読む

#3「とりあえず」の選択で料理の道へ

佐竹さんは1975年、山形県大江町で生まれた。

当時は第2次ベビーブーム、団塊ジュニア世代がひしめく戦国時代。本人曰く「やんちゃな連中に囲まれて、トップになるにはどうしたらいいか、意地ばかり張って」幼少期・思春期を過ごしたという。

高校時代は日本大学山形高等学校でラグビーに打ち込んだ。キャプテンを務め、山形県選抜のメンバーにもなったが、高校の監督とはぶつかってばかり。スポーツ枠での進学を狙ったものの、大学への推薦状は書いてもらえなかった。

「正義感が強いといえばかっこいいけど、頭が固いんですよね。おかしいと思ったことを曲げられないんです」

いくら自分の腕や技術を磨いても、監督は選べない。「世の中ってこういう感じなんだ」という理不尽さに腹が立った。

環境が変わらないなら、飛び出すしかない。

10年後に佐竹さんは大きな決断をするのだが、この時の佐竹青年はもちろん自分の未来を知る由もない。

高校卒業後は仙台で2年間の予備校生活を送り、それでも進路が決まらなかったため、東京の調理専門学校に入った。両親がラーメン屋を営んでいたためだ。

「ちょっと料理を学んで実家を継げばいい」。料理の道へのスタートラインは、ずいぶんと軽い気持ちだった。

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。