未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
266

山形県山形市

テイクアウト・地方発送は受け付けていないこのお店のハムを食べるには、現地に行くしかない!学んだ語学を活かすためにイタリアに乗り込んで20年以上になる筆者が、味わったことのないハムを求めて、「IL COTECHINO」に突撃する。

文= ロマーノ尚美
写真= ロマーノ尚美
未知の細道 No.266 |10 October 2024
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
山形県山形市

最寄りのICから【E48】山形自動車道「山形蔵王IC」を下車

【E48】山形自動車道「山形蔵王IC」までを検索

最寄りのICから【E48】山形自動車道「山形蔵王IC」を下車

【E48】山形自動車道「山形蔵王IC」までを検索

#1肉の林に囲まれて満面の笑みを浮かべる男

そのお店を見つけたのは偶然だった。

2023年の夏、日本に一時帰国したときに居酒屋でスペイン産の生ハムを食べた。店主さん曰く「いままでずっとイタリア産を出していたけれど、輸入禁止で入荷できない」とのこと。

気になって調べてみると、2022年1月にイタリアでアフリカ豚熱の感染ケースが確認されてから、イタリア産の豚肉と加工品の日本への輸入はストップしていた(※)。

(※2024年9月現在、一部豚肉加工品の日本への輸出が再開されている)

「日本ではおいしいイタリアの生ハムが食べられないのかな」とインターネットの海を泳いでいたら、画面いっぱいに吊るされた加工肉の前で、「どうや、俺の肉たち。おいしそうだろう!」と言わんばかりに満足げな顔の男性の写真に漂着した。

お肉屋さんのようだが、さにあらず。イタリアンレストランで、しかも私の地元・山形市にあるらしい。レストラン名やシェフ名で検索すると、「肉の変態」や「生ハムの聖地」など、気になる単語が続々と出てくる。

口コミサイトが普及する前、私のレストラン選びの基準は「シェフがおいしそうな顔つき、体つきをしているか」だった。旅先で店構えがよさそうなレストランを見つけたら、窓越しに店内を覗き込む。シェフの姿が見えたらしめたものだ。「俺、作るのも好きだけど、食べるのも大好きだよ」というオーラが出ていれば、そこは間違いなくおいしい。

私の偏ったレストラン選びのアンテナが、この写真を見て3本一気に立った。

「この人の作る料理を食べてみたい。食べるだけじゃなく、なぜ山形で自家製にこだわってハム・サラミを作っているのか聞いてみたい」

抑えきれない好奇心に突き動かされた私は、2024年8月、笑顔の持ち主、佐竹大志(ともゆき)さんに会いに「IL COTECHINO(イル コテキーノ)」に向かった。

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。