さて、亀仙人街へと戻ってきた。時計は20時をさしている。なんと、すでに10時間も常総市周辺を案内してもらったことになる。暗闇のなかに不思議な煌めきを讃えて、亀仙人街はたたずんでいる。
しかし考えてみればたったの10時間で、5カ国もの国々の人々のリアルな暮らしや文化に出会える場所が、ほかにそうあるだろうか。これまでめぐった外国人コミュニテイはスリランカ、フィリピン、パキスタン、インド、ブラジル。今日は行けなかったけどタイ、ベトナムや中国のコミュニティもあるのだ。その国のおいしい料理があり、文化があり、宗教施設もある。それぞれのお祭りの日を選んで訪れたならば、さらに思いがけない面白い体験ができるだろう。
「パスポートがいらない世界旅行が、一日でできる町なんですよ、ここは」と小笠原さんはいった。
小笠原さんの次なる夢は、バスでこの町のツアーを組むこと。そしてたくさんの人に、このまちで生きている外国人たちのことを知ってもらいたい。「免許をとって、自分でバスを運転しようかな」と小笠原さんは笑っていった。