常総市はさまざまな国籍の人々が住んでいて、それぞれの宗教とくらしがあるという。小笠原さんは「日本人は、外国人の文化や宗教はよくわからなくて怖いと思いこんでいる人が多い。でもそれぞれその国の人たちの大切な文化であり、きちんと知れば、なにも怖いことはない」という。そして知らないままでは、いつまでたってもわからないので、いちど見に行くといいという。小笠原さんは見学や取材の案内も、率先して引き受けている。
まずは市内のモスク「マスジッド・アンド・イマームバルガ・マルカズ・ムハマド・アレー・ムハマド・ジャパン」へいってみることにした。ここは小笠原さんもよく知っているパキスタン人、故キマニ・ムハンマド・イケバールさんが建てたモスクだ。中古車販売業をしていたキマニさんは近隣のパキスタン人のリーダー的存在だったという。ちなみに茨城県は、人口比で全国で三番目に多くパキスタン人が住んでいる県でもある。
モスクは今、息子のモヘドさんが管理している。モヘドさんはイスラム教徒の女性が着用するヒジャブを私たちに渡して「どうぞどうぞ!」と中を案内してくれた。
「ここはシーア派のモスクだけど、スンニ派の人たちも来るし、パキスタンだけでなく、他の国の人たちもOKなんですよ。もちろんイスラム教徒だけでなく、日本人や他の宗教の人たちも、お祭りなど、いつでも見にきてくれていいんですよ」とモヘドさん。
モスクを後に車を走らせていると、そこかしこに外国人たちが歩いている。道路沿いにはタイの八百屋やベトナムの食材店なども多くあり、ここでしか買えないものを東京から買い付けに来る人たちも多いという。また広々とした畑には技能実習生だろうか、たくさんの外国人若者たちが働いている姿も見える。通りを眺めているだけでも、日本のさまざまな産業は外国人の働き手たちが支えていることを、改めて痛感させられるのであった。
「この町で外国人に出会わない日なんかないんですよ」と小笠原さんは言った。