未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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「客こないよ」と言われた店が年間20万人の目的地に 町の景色を変えたジェラート屋「松ぼっくり」の物語

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.256 |10 May 2024
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#6ジェラート店開業のきっかけ

「自家製ミルクで加工品をつくりたい」という夢が一気に現実的になったのは、1991年。牛の品評会で北海道を訪れたことがきっかけだった。

品評会が終わり、会場のお土産コーナーを物色していると、アイスクリームを作ることができる小型のフリーザーが目に留まった。銀色の見た目で、モーターで動く簡易的なもの。松原さんは「おっかぁ(妻)へのお土産に」と購入した。

お土産を喜んだ妻・たみえさんは、自家製ミルクを使ってアイスクリームを作り、家族に振る舞った。

これが、「想像以上にうまかった」のだ。

最初は思うような味にならなかったものの、ミルクの配分を変えながら試作を繰り返すうちに、どんどん味がよくなっていった。

アイスクリームを食べた小学生の息子が喜んだのを見て、息子が所属するスポーツ少年団にも差し入れした。すると、子どもたちが口々に言う。「おいしい!!」

その時思った。「子どもは正直だべな。このアイスは悪くねぇんだ」。

松原さんは「子どもたちの反応を信用して、ジェラート店を開くと決めたんだ」と笑う。

土地を整備して、厨房をつくって、たみえさんを中心にレシピを開発して......初めてアイスクリームをつくった日から10年。

酪農経営を長男に引き継ぎ、松原さんが松ぼっくりを開業したのは2001年のこと。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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