未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
256

「客こないよ」と言われた店が年間20万人の目的地に 町の景色を変えたジェラート屋「松ぼっくり」の物語

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.256 |10 May 2024
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#10子どものころ遊んでいた場所をキャンプ場に

「実は、キャンプ場をつくろうと思っててな」

松原さんが、新たな計画について話してくれた。

「子どもたちが畑を見たり、遊んだりできる場所をつくりたくて。テントを立ててバーベキューもできるように、わさびを作ってる畑の近くに今整備してるんだ。順調にいけば、今年オープンできるよ」

なぜキャンプ場を作ろうと思ったんですか? と聞くと松原さんは自分の子ども時代に思いを馳せた。

「キャンプ場として整備してる場所はな、子どもの頃によく行ってた場所なんだ。昔は川があってな、泳いだり魚とったり、いっつも遊んでた。もう一度な、そうやって子どもが遊び回れる場所をつくりたくて」

「キャンプ場ができたら、お客さんがたくさん来てくれる気がする」そう言って松原さんは目尻を下げた。松原さんの「まちづくり」はまだまだ終わらない。

15時過ぎ、行列は外まで伸びていた

2時間半の取材を終え外に出ると、入り口にはさらに長い列ができていた。

私は足元にころがる松ぼっくりを見て、ふとカラマツの花言葉を調べた。出てきた言葉は「豪胆」。肝が据わっていて、度胸があること。動じず、思い切ったことをするさま。そんな意味がある。大胆な決断の連続で雫石町の景色に変化をもたらす松原さんに、ぴったりと重なった。

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

町の景色を変えたジェラート屋「松ぼっくり」の物語

最寄りのICから【E4】東北自動車道「盛岡IC」を下車
1日目
「手づくりアイスクリーム牧舎 松ぼっくり」を訪ねる。イートインスペースもあるけれど、ジェラートを片手にカラマツの遊歩道を散歩するのもおすすめ。
手づくりアイスクリーム牧舎 松ぼっくり
2日目
大自然の中をドライブしながら、近くの玄武温泉へ。雫石の味覚と美肌の湯を堪能しよう。

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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