「実は、キャンプ場をつくろうと思っててな」
松原さんが、新たな計画について話してくれた。
「子どもたちが畑を見たり、遊んだりできる場所をつくりたくて。テントを立ててバーベキューもできるように、わさびを作ってる畑の近くに今整備してるんだ。順調にいけば、今年オープンできるよ」
なぜキャンプ場を作ろうと思ったんですか? と聞くと松原さんは自分の子ども時代に思いを馳せた。
「キャンプ場として整備してる場所はな、子どもの頃によく行ってた場所なんだ。昔は川があってな、泳いだり魚とったり、いっつも遊んでた。もう一度な、そうやって子どもが遊び回れる場所をつくりたくて」
「キャンプ場ができたら、お客さんがたくさん来てくれる気がする」そう言って松原さんは目尻を下げた。松原さんの「まちづくり」はまだまだ終わらない。
2時間半の取材を終え外に出ると、入り口にはさらに長い列ができていた。
私は足元にころがる松ぼっくりを見て、ふとカラマツの花言葉を調べた。出てきた言葉は「豪胆」。肝が据わっていて、度胸があること。動じず、思い切ったことをするさま。そんな意味がある。大胆な決断の連続で雫石町の景色に変化をもたらす松原さんに、ぴったりと重なった。