未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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「客こないよ」と言われた店が年間20万人の目的地に 町の景色を変えたジェラート屋「松ぼっくり」の物語

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.256 |10 May 2024
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#8午前中には売り切れる人気の直売所「松の実」

「うちだけにこんなにお客さんが来るのが、なんだかもったいなくてな」と、敷地内に地元農産物の直売所「松の実」をつくったのは開店から3年後の2004年。

今では40を超える農家と契約している。年間で出荷者1人当たり平均100万円、最高300万円の売り上げがあるという。

午前中に売り切れることも多く、私が入店した15時頃には、ほとんどの品物がなくなっていた。

産直「松の実」の店内。15時過ぎには、ほとんどが売り切れていた

「農家の人たちが研究してつくった、いろんな種類の野菜があるんだ。80歳のおばあちゃんが栽培して、自分の名前をつけたお茶とかな。最高齢だと90歳だったかなあ。地域の人たちにとって現金収入にもなるし、みんな『楽しくなった』と張り切ってくれるんだ」

若手から高齢者まで参加する農家の直売所は、「あの品種の栽培時期どうする?」「この品種はまだやってないからやってみっか」と活発な意見が飛び交う場にもなったそうだ。

現在松原さんは、酪農、ジェラート店、直売所の経営を自身の家族を含めた従業員8名で回している。もともとは人通りさえなかった場所を活性化させ、さらに雇用まで生み出した。

これまでの取り組みが認められて、松原さんは2014年に「日本農業賞」、2023年に「大日本農会農事功績表彰緑白綬有功章」を受賞(章)した。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
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