北方民族博物館の常設展示物は約900点で、展示エリアもそれほど広くない。早足で見て周れば、恐らく10分もかからないだろう。
でも、それはもったいない。衣食住をメインに据えた展示は見どころ満載で、解説やところどころに用意された映像をチェックしてまわると、1時間ではぜんぜん足りない。北方民族が使用してきた毛皮に触れられるコーナーやアイヌの衣装を着用できるコーナーも楽しんでほしい。
アイヌの博物館といえば「国立アイヌ民族博物館ウポポイ」があるけど、アイヌを北方民族のひとつとして捉え、ほかの民族と比較できるのもこの博物館ならではの体験だ。
アイヌ語から日本語になった言葉たち、パーカーのルーツ、自然素材だけで作られるエコ住宅、床屋さんが発見したオホーツク文化、エスキモーのラップバトル……。展示室を出た時には、それまでなんの知識もなかった北方の民族への親近感と尊敬の念が湧いてきた。
僕はまた必ず、北方民族博物館を訪れる。そして、身の回りの人たちに「あそこは本当に素晴らしい」と伝え続けよう。