未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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「北見厳寒の焼き肉まつり」はサムくない。 氷と雪と焼き肉と。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.251 |26 February 2024
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#7本気のリピーターと寒さに強い学生

七輪の上にマイ網を設置し、肉を解凍するオリジナルシステム。

ほかにどんな人がいるんだろう? お腹が落ち着いた頃、周囲を見渡したら、「んん?」と二度見したくなるようなグループがいた。例えば、七輪の網のうえにもう一段、網を載せていた三人。話を聞くと、肉が凍るため、上の網で一度解凍してから、下の網で焼いているという。これはただ者じゃない! 何回目ですか? と聞いたら、千葉から来たという男女は「5回目」、名古屋から来たという男性は「7回目」。本気のリピーターたちは、焼き肉をより楽しむために毎年「カイゼン」を重ねていた。

「今は、100円均一の店とかでいろんなグッズが買えるじゃないですか。それで、これ使える、あれ使えるって持ってきてるんです」

マイグッズを持ち込むベテラン勢。

三脚のライトは、肉の焼き加減を見るため。確かに、手元が暗くて、焼けているのかどうかわかりづらかった! ほかにも、キャンプで使う暖を取るためのグッズや、熱燗を飲むための薬缶と小型コンロを持参していて、素人の僕らと比べると満喫レベルが100倍ぐらい高そうだった。「今年は暖かいですよ。去年はもっと寒くてね。ビールも凍りました」と笑う三人を見て、「この人たちは来年も来るんだろうな」と思う。

マイナス気温のなかでソフトクリームを食べる女子大生。

さらに会場を歩き回っていたら、4人の若い女の子がソフトクリームを食べていて、目を疑った。彼女たちは北見の大学で「情報系」を学ぶ学生で、それぞれ長崎、茨城、長野、静岡から出てきた。このお祭りは、初めてだという。

「1年の頃から気になっていたんですけど、テストと重なって来れなかったんです。3年はテストが早く終わるので、ようやく来れました」

なぜ、この寒さのなかでソフトクリームを?

「ずっとここで、アイスを食べたかったんです。この寒さなら溶けずに食べられるかなって!」

ひとりの女の子が爽やかな笑顔で語ってくれたが、まったく共感できなかった(笑)。北見に3年住むと、寒さに強くなるのだろうか? 大学3年生ということは、来年もまだ北見にいる。また来たいですか? と尋ねると、全員が大きくうなずいた。

「来たいです!」

別の場所では、男子学生のグループが若者らしい雰囲気で盛り上がっていた。タンクトップのふたりの写真を撮らせてもらう。「寒くないんですよね!」というと、「ぜんぜん寒くありません!」と叫びながら震えていた。

風邪を引かないことを願う。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
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