宮城県仙台市
8月某日、私は仙台市郊外にある「社会福祉法人ライフの学校」の萩の風キャンパスにやってきた……そう聞けば、大学にでもいるのかと思うだろうが、ここは老人ホーム。ほかにも複数のキャンパスを持ち、活動は多岐に渡るのだ。命と向き合うことを模索して居場所をつくり続けている、理事長の田中伸弥さんに会いに行った。
最寄りのICから【E48】仙台南部道路「今泉IC」を下車
最寄りのICから【E48】仙台南部道路「今泉IC」をを下車
福祉と聞いて思い浮かべるのはどんなことだろうか。突き詰めて福祉とは何かと問えば、思索はどこまでもどこまでも深くなるけれど、主に「公的な扶助やサービスで、生活を安定させること」という意味の認識が流通しているようだ。
福祉との接点の濃淡には、個人差が大きくあると思う。あまり意識していない人も多いかもしれない。ただ、無関係な人は決しておらず、福祉を考えることは人の生き死にを考えることとつながっている。
私は数年前、ライターとしていくつかの老人ホームに行く機会を得た。海外から介護の仕事をしに来る人たちがアクセスしやすいようにつくられたメディア。その企画に関わっている1人として、知り合ったのが、ライフの学校の理事長、田中伸弥さんだ。「ライフの学校の……」と自己紹介を聞いて、頭の中にはてなマークが浮かんだのを覚えている。田中さんは私と同世代で、風貌もオシャレだったので、老人ホームに対する先入観がガラガラと崩れた。
「いつか気軽に遊びに来てくださいよ!」
すぐにふらりと訪れたかったけれど、コロナに阻まれ3年が経過し、やっと「遊びに来ました!」と言って訪ねられるようになった時期が今。カフェやシェアハウスといった新事業がスタートして、ひと段落ついたタイミングだった。