未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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一人ひとりが宿題を持ち帰る ライフの学校ってなんだろう?

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.242 |25 September 2023
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#4身近で「生きる」を学べたなら

おいしいコーヒーとプリンに後ろ髪を引かれながら、再び萩の風キャンパスに戻る。その道の途中にも、実はライフの学校の「みんなの畑」があって、野菜や米の栽培、今後はビールの原料となるホップの栽培も予定しているという。

「今日も午前中は草刈りしてましたよ。理事長っていっても、スタッフみんなががんばってくれてるから、私が主にやっているのは雑用ですよ」と田中さん。取り組みについて聞きながら「すごい」と感想をもらすとすぐに謙遜モードになるけれど、理事長然としているより、よっぽどいい姿なのではないかと思う。一緒に施設を巡っていると、大きくてはっきりと聞き取れる声で、すれ違うスタッフやパートナーと、明るく話す様子も印象的だった。

さて、萩の風キャンパスでは、週末プログラムの「LIFE BAR」を開催中だった。この日はスタッフの友人だという筋ジストロフィーの方のお話会。スクリーンに映し出されるスライドを見ながら、ゆっくりと語られる話を20人ほどの会場の人が聞いている。ゲストは毎回変わるが、アットホームな雰囲気で開催されるのは同じだ。

過去に開催されたライフストーリー学の様子(写真提供:ライフの学校)

LIFE BARはじめ、「ライフストーリー学」「オープン看取り学」など、レギュラーの催しだけでもそのバリエーションはさまざま。ライフの学校のHPの「毎日開催しているプログラム」「週末開催しているプログラム」の項目には、複数のこれから参加できるイベントなどの告知がいくつも並んでいる。誰もが問い合わせフォームなどから申し込み可能で、無料や数百円で参加できるものが多い。

これらは専任のスタッフが企画しているのではなく、2割ほどの介護スタッフが兼任で行っているというのにも驚いた。

ここでは、日々の高齢者や障害者との関わりも、その日常を外にひらいていくことも、さまざまな人と生きること、死ぬことの悲喜交々をシェアしていくことが、まるっとつながっているのだ。田中さんが目指すかたちは、スタッフの働き方にも現れているのだと思った。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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