今回自転車旅を導いてくれた2人に、あらためてこの企画について聞いてみた。
「伊豆沼・内沼を自然を体感してもらうために、レンタサイクルを活用した取組みをしたいというのが、企画の始まりです。くりこま高原駅から、アクセスしやすい場所にラムサール条約登録の湿地があるのは栗原市の大きな魅力。国の天然記念物、鳥獣保護区になっている伊豆沼・内沼は見どころがいっぱいあって、ぜひいろいろな人に見てほしいと思うんです。
秋から冬にかけて見られる渡り鳥や動植物もですが、稲やレンコンの田んぼなど人の暮らしも感じられます。秋の渡り鳥の飛来にあわせて、10月ごろを目途に予約制のプログラムにする予定です」(大場さん)
菅原さんにも、栗原市を自転車で巡る魅力について尋ねてみた。なんといっても彼は、毎日回り道をしながら、約17キロを1時間かけて自転車通勤しているのだ。
「私の場合は毎日乗っているから、季節の変化をすごくきめ細かく感じられるんです。今日は山が見えないなとか、紅葉し始めたとか、そういったことを周囲の人に教えられるのも嬉しいんです。
自転車に乗ると小さな気づきをもらえる喜びがあります。それは、体だけじゃなく心のリフレッシュにもなると感じるので、ぜひ多くの人に体験してほしい。
今のところ、電動自転車のレンタルは、意外なことにビジネス利用も多いんです。でも最近はサイクリングの提案もしているので、少しずつ今日みたいな楽しみ方をする人も増えているんです。季節によって見どころも変わるので、一度に限らず何度も訪れてほしいですね」(菅原さん)
大人になってから2回目の栗原市来訪となった今回の旅。そういえば、きっかけをつくってくれたのは、菅原さんなのだ。冬の伊豆沼で渡り鳥を見た時に偶然居合わせ、「伊豆沼は夏の蓮の花がきれいなんですよ」という言葉をくれていた。
実は今回も「次は10月中旬に来るのがおすすめです。その時期の気候はサイクリングに最適だし、紅葉と越冬に来たマガンを一度に見られる貴重なタイミングなんです」と菅原さん。それはぜひ見てみたい。こうやって、同じ場所への旅が積み重なっていくのはいい。
まだ見ぬ景色を想像してみるとワクワクしてくる。次もきっと、自転車を漕いで、五感フル動員で味わいたい。