未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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田んぼの間を走るって気持ちいい! 五感をひらくレンタサイクル旅

文= 小野民
写真= 佐竹歩美
未知の細道 No.225 |11 September 2023
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#2旅は道連れ。地元のカメラマンを誘ってみた

せっかくなら誰かと一緒に行くのが楽しそうだと思い立ち、同世代の知人を誘ってみることにした。私の実家は宮城県で、帰省の折に知り合ったカメラマンがいる。たしか栗原市の近くにいたはず。思い浮かんだカメラマンの名は、佐竹歩美さんという。

「一緒に行きませんか? 撮影もしてくれたら嬉しいです」とメッセージを送ると、「運動不足カメラマン“も”行くというコンセプトで」と、私の狙い通りの返事が来て、にやり。ちょっと自信がないことも、仲間がいれば勇気が湧いてくる。そんな経験、実は久しぶりだなと気づいた。

さて、当日のくりこま高原駅。私と佐竹さんのほかは、栗原市のまちおこしに関わっていたり、ちょうど視察に来ていた人だったりが、この日の参加者のようだ。佐竹さんもそのほかの参加者の女性も完全防備の日焼け対策。一方の男性は、なぜかみんな黒いTシャツ。なんだか熱を吸収しそうで心配になる。なぜならこの日も猛暑予想で、ガイド役の一般社団法人 くりはらツーリズムネットワークの大場寿樹さんも、「とにかく無理は禁物。少しでも調子が悪いと思ったらすぐに言ってくださいね」と何度も声をかけてくれていた。

全長13キロのコースを、みんなのペースを見ながら調整しつつ走ってくれるそう。駅前にずらりと並んでいたのは、電動ミニベロといわれる、タイヤホイールが20インチ以下の、乗りやすく小回りがきくタイプのもの。出力のパワーとギアが、それぞれ3段階に切り替えられるようになっている。

「自転車自体が久しぶりの人いますか」との声に、「ほぼ9年ぶりです……」とおずおずと答える私。「ちゃんと練習していきましょう」と漕ぎ出しや止まり方をやってみてから出発となった。

お、意外と乗れるぞ。そう思ったのも束の間、電動の勢いでよろけてしまった。漕ぎ出しが不安定になる。でも、行ったり来たりしているうちに、バランスの取り方を体が思い出してきた。「自転車の乗り方を忘れることはない」昔聞いたそんな話は、本当だったのだと安心した。

目的地は、栗原市サンクチュアリセンターつきだて館(昆虫館)の隣にあるカフェ「ひしの実」。ここで提供されるホットサンドランチ付きの旅程が、トライアルなのだそうだ。おいしいランチが待っていると思うと、意欲も増してくる。

観光案内所でもらえるおすすめの自転車ルート
ヘルメットの被り方もしっかり指導される。下を向いて落ちてこなければOKだそう
いざ、出発進行!
大場さんのアドバイスにしたがって出力はMAXの「パワー」モード
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。