未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
220

青森の古写真研究 古写真とともに、まちを歩こう!

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.220 |25 October 2022
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#10古写真のおまけに

以前は青函連絡船が接岸する港だったのだが、ここ最近になって埋め立てられ、人口ビーチとして観光拠点になったという、青森駅前のベイエリアを眺めながら、相馬さんは建築物、そして写真や文書などの歴史資料を残していくことの重要性を、とつとつと語ってくれた。

いうまでもなく人間は、歴史を検証しながら進歩し社会を作ってきた。しかしどんなものでも記録が辿れなくなると、人々が社会を作り上げてきた経緯がわからなくなってしまう。そしてそれが、時には社会全体にとって大きなロスになることもあり得るのだ。

私が『青森太郎」のツイートの中で、好きなつぶやきがある。
それは『博物館の収蔵庫が、資料で空きスペースが少なくなっていく。当たり前だろう、長年運営していれば、当然資料は増える。収蔵庫が狭くなったら、増やせば良いだろうに。資料はみな大事なのだから。』というつぶやきだ。

そう。歴史や文化を調査研究する上で、資料は等しく大事なのだ。どんな資料も絶対に捨てられない。データやフィルムを捨ててしまったら二度と同じ写真はつくれないということをよく知っている写真家の私は、もしかしたら人一倍、その気持ちがわかるのかも知れなかった。

昭和18年のモノクロ写真をカラー化したもの。現在の若者と変わらないように見えてくるから不思議だ。

これから「歴史の庵」では、相馬さん企画の写真展が始まる予定だ。これまで集めた古写真をカラー化したものを展示する「カラーで蘇る戦前・戦後の青森?自動カラー化技術で白黒写真が大変身?」という展示だ。その準備にいま相馬さんは忙しいのだという。
『カラーで蘇る戦前・戦後の青森?自動カラー化技術で白黒写真が大変身?』公式サイト(*現在は開催中、12/23まで。)

そしてこの旅の話にはおまけがある。なんと私も相馬さんの古写真調査にちょっとだけ、遠くから関わっていくことにしたのだ。考古学調査員で郷土史家でもある相馬さんと写真家がタッグを組んだら、たぶん写真の調査はもっと面白くなるんじゃないかと我ながら思っている。

現在展示中の「カラーで蘇る戦前・戦後の青森-自動カラー化技術で白黒写真が大変身-」のようす

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

八戸・青森 近代の歴史アーカイブをめぐる旅

最寄りのICから【E45】八戸久慈自動車道「種差海岸階上岳IC」を下車
1日目
八戸市種差海岸へ。
吉田初三郎のアトリエやスケッチした場所などに思いを巡らせながら種差天然芝生地を散策。種差海岸インフォメーションセンターや種差観光協会も兼ねる柳沢商店にも訪れてみよう。初三郎に関する思わぬ出会いや発見があるかも。
八戸市中心部へ。八戸クリニック街かどミュージアムで伝統木版画を展覧会や郷土資料などを鑑賞(春と秋のみ。)
時間があれば八戸市博物館や八戸市美術館にも足を伸ばそう。

種差海岸インフォメーションセンター
八戸クリニック街かどミュージアム
八戸市博物館
八戸市美術館
2日目
青森市へ。
青森の近代史に思いを馳せながら、海岸エリアを散策。青森市の歴史資料をアーカイブする「青森まちかど歴史の庵 奏海」を見学し、青森市の古写真や近代の暮らしの展示資料などをながめてみよう。
さらに太宰治や寺山修司が歩いた道、太平洋戦争の痕跡がわかる場所などを探して歩いてみよう。近くの青森市民図書館やミュージアムシップ・八甲田丸やベイエリアのカフェなども楽しめる。
時間があれば青森県立美術館、国際芸術センター青森にも足を伸ばそう。

「奏海 かなみ 」青森まちかど歴史の庵
青森市民図書館
青森県立美術館
国際芸術センター青森 ACAC

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。