未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
220

青森の古写真研究 古写真とともに、まちを歩こう!

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.220 |25 October 2022
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#2故郷で考古学の調査員になる

相馬信吉さん

前夜に台風が過ぎたものの、まだ小雨がちらつく寒い朝。青森市内の中心部、大通りから一本外れた通りに建つ小さな建物『青森まちかど歴史の庵 奏海』を訪ねた。たくさんの写真や、フィルムがぎっしり入った箱……そんなものたちに囲まれて、相馬信吉さんがいた。「いらっしゃい」と笑顔で声をかけてくれた相馬さん、イントネーションは完璧な津軽弁である。

相馬さんは、弘前の農家に生まれた。1971年(昭和46年)、早稲田大学の「在野精神」に憧れて第一文学部に入学。国文学を学びたくて入学したのだが、「当時は学園紛争の余波で、授業なんかほとんどなかったです」と相馬さん。
しかし大学2年生の時に考古学の教授から「相馬くん。青森出身だよな、青森県の蓬田村で、古代遺跡の発掘をやるから、一緒に行かないか」と声をかけられたことで、進路が予想もしなかった方向へ。故郷での遺跡発掘を経て考古学を専攻することになり、卒業後は青森県庁に入庁。県の教育委員会のなかで、遺跡を調査する考古学専門の職員として勤務することになった。こうして、相馬さんはくる日も来る日も青森県内の考古遺跡を発掘する人生に突入していったのだった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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