さて、小倉さんは3年前からミュージアムと並行して、実行委員会を立ち上げ、非常に興味深いサイトの運営を行っている。それが「はちのへヒストリア」だ。
『はちのへヒストリア』公式サイト
「はちのへヒストリア」は、八戸地域の多種多様な文化財・歴史文化資源のデジタルデータを活用し、地域の歴史・文化を総合的に紹介するウェブサイトだ(以上サイトより抜粋)。サイト内で文化財はマップと連動しており、地域、年表を同時に見て、郷土資料をより体系的、多角的に理解することができるのだ。
「はちのへヒストリアは以前からやりたかったことの一つだったんです」と小倉さんはいう。そしてもちろんこのサイトには、吉田初三郎と種差海岸についても、掲載されている。「はちのへヒストリア」を見てから、さらに街かどミュージアムや市内の博物館、美術館などの資料を実際に見れば、より文化財への理解や愛着が深まるだろう。
初三郎がなくなって70年近い年月が流れた。その間に秀彦さんが八戸の宝として初三郎の作品を集め、ミュージアムを作った。さらに柳沢さんや小倉さんのような人たちが、今もなお初三郎を調査、研究し、この町の人やこの町に訪れる人のための活用を、それぞれが続けている。
この活動そのものが初三郎以後の八戸の宝なのではないか、と私は思った。