未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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鳥瞰図絵師が愛した風景 八戸に生きる人々と吉田初三郎

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.219 |11 October 2022
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#9八戸の宝とは

現在、開催中の展覧会のようす(撮影:八戸クリニック街かどミュージアム)

さて、小倉さんは3年前からミュージアムと並行して、実行委員会を立ち上げ、非常に興味深いサイトの運営を行っている。それが「はちのへヒストリア」だ。
『はちのへヒストリア』公式サイト

「はちのへヒストリア」は、八戸地域の多種多様な文化財・歴史文化資源のデジタルデータを活用し、地域の歴史・文化を総合的に紹介するウェブサイトだ(以上サイトより抜粋)。サイト内で文化財はマップと連動しており、地域、年表を同時に見て、郷土資料をより体系的、多角的に理解することができるのだ。

「はちのへヒストリアは以前からやりたかったことの一つだったんです」と小倉さんはいう。そしてもちろんこのサイトには、吉田初三郎と種差海岸についても、掲載されている。「はちのへヒストリア」を見てから、さらに街かどミュージアムや市内の博物館、美術館などの資料を実際に見れば、より文化財への理解や愛着が深まるだろう。

初三郎がなくなって70年近い年月が流れた。その間に秀彦さんが八戸の宝として初三郎の作品を集め、ミュージアムを作った。さらに柳沢さんや小倉さんのような人たちが、今もなお初三郎を調査、研究し、この町の人やこの町に訪れる人のための活用を、それぞれが続けている。
この活動そのものが初三郎以後の八戸の宝なのではないか、と私は思った。

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

八戸・青森 近代の歴史アーカイブをめぐる旅

最寄りのICから【E45】八戸久慈自動車道「種差海岸階上岳IC」を下車
1日目
八戸市種差海岸へ。
吉田初三郎のアトリエやスケッチした場所などに思いを巡らせながら種差天然芝生地を散策。種差海岸インフォメーションセンターや種差観光協会も兼ねる柳沢商店にも訪れてみよう。初三郎に関する思わぬ出会いや発見があるかも。
八戸市中心部へ。八戸クリニック街かどミュージアムで伝統木版画を展覧会や郷土資料などを鑑賞(春と秋のみ。)
時間があれば八戸市博物館や八戸市美術館にも足を伸ばそう。

種差海岸インフォメーションセンター
八戸クリニック街かどミュージアム
八戸市博物館
八戸市美術館
2日目
青森市へ。
青森の近代史に思いを馳せながら、海岸エリアを散策。青森市の歴史資料をアーカイブする「青森まちかど歴史の庵 奏海」を見学し、青森市の古写真や近代の暮らしの展示資料などをながめてみよう。
さらに太宰治や寺山修司が歩いた道、太平洋戦争の痕跡がわかる場所などを探して歩いてみよう。ミュージアムシップ・八甲田丸やベイエリアのカフェなども楽しめる。
時間があれば青森県立美術館、国際芸術センター青森にも足を伸ばそう。

「奏海 かなみ 」青森まちかど歴史の庵 青森県立美術館
国際芸術センター青森 ACAC

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。