未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
216

岩手県花巻市

岩手県花巻市にある「るんびにい美術館」は日本有数の「アート・ブリュット」の発信地。宮沢賢治ゆかりの地はなぜ、類まれなる芸術のゆりかごとなったのか?

文= Numa
写真= Numa
未知の細道 No.216|25 August 2022
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
岩手県花巻市

最寄りのICから【E4】東北自動車道「花巻南IC」を下車

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#1小さな、けれどもユニークなミュージアム。

その日は朝から、あいにくの雨模様。宮沢賢治とゆかりの深いという山間の温泉宿に投宿していた私は、情緒に溢れる露天風呂に後ろ髪を引かれながらも、早くに支払いを済ませ市街地を目指した。山を降りると視界は開け、ニッポンの原風景が広がった。雨に濡れた田んぼは一段と彩度を高め、あちこちに点在する防風林に囲まれた農家が絵画的な風景を引き立てくれる。「おお、これぞイーハトーブ!」。実は宮沢賢治の作品をほとんど読んだことのない私なのだが、精一杯の知ったかぶりをして悦に浸る。ここは彼の出生地である岩手、花巻だ。

やがてクルマが市街地に差しかかり、目的地に近づくと、カーナビの地図に予想外の文字が現れた。「花巻東高校」。なんと! MLBで活躍する大谷翔平と菊池雄星の母校ではないか。興味本位で校門前を通ってみると、両選手の活躍を祝う巨大な横断幕が校舎に掲げられているのが見えた。

高校野球を象徴する名門校と道路を挟んで向かい合う小さな建物を、私はこれから訪れようとしている。世間的な知名度は比べる由もないかもしれないが、ここには国内外で高い評価を受ける、異彩を放つアーティストの拠点になっている「るんびにい美術館」だ。私は開館時刻より少しだけ早く到着し、クルマを駐車場へと移動させると、団体客を乗せた大型バスが一足先に待機していた。

ここを拠点に創作活動をする小林覚の作品がミュージアムの外壁に。独特の文字で「るんびにい美術館」と描かれている。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。