ちなみに、アイスパビリオンは1年中オープンしている。夏の暑い日に涼みにくるのも楽しいだろう。しかし! 僕は断言する。アイスパビリオンは、冬がお勧めだ。
さすがに、冬は夏よりもお客さんが減る。そこでアイデアマンの帆苅さんが、「そり遊びをしてもらおう」と閃き、雪が積もった日に職員総出で、外にそりのコースを作った。これが年々進化しており、現在はキッズコース、ドームスライダーコース、45度傾斜のコースが用意されている。ソリは、わざわざ海外から輸入しているスライダーを使用。前後に連結できるのが特徴で、グループで一緒に滑ることができる。
そりと聞くと、子どもの遊びのように感じるかもしれない。僕も最初はそう思っていたんだけど、館長と今野さんから「ぜひそりを体験してほしい。そりが好きで何度も来る家族もいるんです」と言われて、まずは初心者用のキッズコースで乗ってみたら……。
想像をはるかに超えるスピード感があって、カラダが固定されていない分、並みのジェットコースターよりスリルがある! さすが、室内に1000トンの氷を蓄える男、そりのコースも子どもだましではなく、「本気」を感じる作りなのだ。キッズコースで「おわーっ!」と叫びながら滑り切った時には、このスライダーが大好きになっていた。
次に向かったのは、ドームスライダー。今野さんとスライダーを連結してランデブー! こちらはキッズコースよりもコースが長く、傾斜もあり、もっとジェットコースター感がある。連結しているからこその一体感もあり、正直に言ってめちゃくちゃ楽しい。まさか、42歳の男がそりでこんなにテンションが上がるなんて!
締めくくりは、45度傾斜コース。よくこんなコースを作ったなと感心する。はたから見ても相当な急傾斜なんだけど、スタートラインから見る景色は滑るのではなく、「落ちる」感覚だ。今野さんによると、スタートラインで怖気づいて、やっぱりやめるという人が大半だという。
しかし! 僕は遊びに来たのではない。取材に来たのだ。「僕は行きます!」と威勢よくスタートラインにつき、スタッフさんに押してもらって一気に滑り降りた。恐らく、その瞬間の顔は恐怖でひきつっていただろう。マジで怖い。でも、達成感もハンパない。今野さんに撮ってもらった写真は、恐怖感を微妙に残したドヤ顔だった。