館内の開けたスペース、アイスホールには大きな氷の山がそびえ立ち、周囲の壁も全面的に凍っている。凍っていないのは床だけだ。どうやってこれを作ったのだろう?
「開館以来、30年以上、毎日水をかけています。それが新しい氷になって、どんどん大きくなっているんですよ。この施設の氷の重さは、ぜんぶで1000トンあると言われています」
1000トン! ひとつの建物のなかに1000トンの氷があって、日々大きくなっているなんて! なんだかよくわからないけど、すごい。
ここからが驚きの連続だった。まず、今野さんがタオルを濡らし、グルグルと振り回し始めた。「こうすると、タオルがすぐに凍ります」。ほんの数秒後、棒のようにカチンコチンになった。これで殴られたら痛いというレベルの硬さだ。
今野さんが次に取り出したのは、シャボン玉。「吹いてみてください」と手渡されたので、ふーっと息を吹きかけると、シャボン玉がたくさんできた。なんと! それが足元に落ちても割れずに、コロコロと転がっている! 「マイナス20度の世界では、シャボン玉ができた瞬間に凍り始めるんですよ」。凍り付いたシャボン玉は、触るとすぐに破けてしまうんだけど、それにしてもシャボン玉の形を写真に収めたり、手のひらに乗せたりするのは不思議な感覚だ。