未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
206

震えて驚き発見する氷の世界へ マイナス41度の風に吹かれて

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.206 |25 March 2022
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#3シャボン玉コロコロ

館内の氷の総重量は1000トンにも及ぶ。

館内の開けたスペース、アイスホールには大きな氷の山がそびえ立ち、周囲の壁も全面的に凍っている。凍っていないのは床だけだ。どうやってこれを作ったのだろう?

「開館以来、30年以上、毎日水をかけています。それが新しい氷になって、どんどん大きくなっているんですよ。この施設の氷の重さは、ぜんぶで1000トンあると言われています」

1000トン! ひとつの建物のなかに1000トンの氷があって、日々大きくなっているなんて! なんだかよくわからないけど、すごい。

にこやかで明るい今野さんと棒のように凍ったタオル。

ここからが驚きの連続だった。まず、今野さんがタオルを濡らし、グルグルと振り回し始めた。「こうすると、タオルがすぐに凍ります」。ほんの数秒後、棒のようにカチンコチンになった。これで殴られたら痛いというレベルの硬さだ。

シャボン玉を吹いた後に驚きが!

今野さんが次に取り出したのは、シャボン玉。「吹いてみてください」と手渡されたので、ふーっと息を吹きかけると、シャボン玉がたくさんできた。なんと! それが足元に落ちても割れずに、コロコロと転がっている! 「マイナス20度の世界では、シャボン玉ができた瞬間に凍り始めるんですよ」。凍り付いたシャボン玉は、触るとすぐに破けてしまうんだけど、それにしてもシャボン玉の形を写真に収めたり、手のひらに乗せたりするのは不思議な感覚だ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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