昔から「フットワークの軽い人」、いわゆる「フッ軽（ふっかる）」な人に憧れてきたような気がする。誘われれば、ためらうことなく「行く行くー！」と予定を入れるし、風のように好きな場所に旅をする人。ずっと、そんなふうになりたかった。

というか、実際、そうやって生きていた時期が私にもあった。大学生になってから数年前までは、飲み会には必ず顔を出すし、週末は予定を3件も4件もハシゴしたものだった。連休と聞けば韓国に飛び、3日さえあれば屋久島を歩いた。「ぜんぜん家に帰ってこない。もうずっと顔も見てない」と母に嘆かれたこともあったっけ。

それがいつしか「旅に出たいなあ」と想いを募らせてはいるものの、なかなか動けなくなっている自分がいる。仕事が忙しいから、赤ちゃんがいるから、お金がかかるから……。私の腰にはたくさんの荷物が引っかかり、どんどん重たくなっていったように思う。

それでも今回、コラムを書こうと振り返ってみると、なんだかんだで小さな旅はしていることに気付いた。以前のような長旅や遠出ではないけれど、今の私なりの「旅」。そこには、こんなにも重たくなってしまった腰を持ち上げさせる「何か」があったのだ。