さて、水信玄餅である。
友人の運転のおかげで10時前に到着した私たちは、先着順で渡される引換券を受け取った。どのくらい待つかはわからないけれど、これでひとまず安心である。50人はいたであろう他のお客さんと同様に、横にあるお店でお土産の信玄餅や和菓子を購入しながら待った。意外と早く30分ほどで呼ばれ、いざ、幻の和スイーツ!
目の前に現れた水信玄餅は意外とこじんまりとしていたけれど、透明な寒天に光が反射してキラキラしているのは写真のとおりだった。同じ皿に添えられた、黒蜜ときな粉をつけて食べる。味は……あまりしなかったと記憶している。黒蜜やきな粉が絡んで、その味で「信玄餅感」はあるので、どちらかと言うとつるっとした食感を楽しむものなのかもしれない。味よりも見た目の美しさにテンションが上がるスイーツであることは、海外からの友人たちを見れば明らかだった。
私たちはひと通り写真を撮り、ペロリと水信玄餅を平らげて店を出た。時間にして、15分もいなかったかもしれない。実は今、写真を見返してもその味や食感がうまく思い出せないでいる。まさに「幻の和スイーツ」と言えよう。
帰りは、直前に日本の免許が取れた夫に運転してもらい、無事に帰宅。結局、私はハンドルを握ることなく、友人を水信玄餅まで連れて行くことができた満足感に浸っていた。次にリクエストがあったときには、私の運転で連れていってあげたい。
この旅、本当になにをしたわけでもない。ミニバンを借りて、みんなで好きな音楽をかけながら山梨へ向かい、水信玄餅とほうとうを食べて帰宅した。せっかく山梨に行くのであれば、あれもこれも詰め込めたかもしれないけれど、私たちはみんな「楽しかったね」と写真を見返していた。