秋田県山本郡
ねぶた祭り、竿燈祭り、仙台七夕……東北三大祭りには、観光客が全国から集まる。でもいわゆる「有名な祭り」じゃなくても、東北には訪ねきれないくらいの興味深い祭りが存在するのだ。例えば偶然仕事で縁のあった小さな町でも、目を疑うような驚きの祭りが行われていたりする。
最寄りのICから【E7】秋田自動車道「二ツ井白神IC」を下車
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私は地方に出張に行くことも多いライターだ。『未知の細道』のように、ピンポイントで地方のトピックを取材することもあれば、その土地のコンテンツを書く・編むといった仕事を依頼していただくこともある。
その土台を作ったのは、前職での経験だろう。農業雑誌の営業として全国各地をスーパーカブで行脚していた。営業時代の行き先は勤め先に決められていたし、今の仕事も基本的に「依頼」によるもの。いつも受け身の行き先で、それでも私は感動すること、知らなかったこと、楽しいこと……数多くのとびきりのオンリーワンに出会ってきた。
全国の祭りについてもそうだ。祭りと聞くと血が騒ぐ人も多いし、盛大な祭りを調べて旅行先に選ぶこともあるだろう。が、最初に断っておくと私はそういうタイプではない。神輿が目の前にあっても、担がない……気がする。これから書く祭り「藤琴豊作踊り」にも、本当にたまたま出会って、だけど驚くほど心を掴まれた。
ちなみに私が幼い頃から慣れ親しんできた祭りは、ふるさとである宮城県の加美町で行われる「火伏せの虎舞」だ。大火の多かった地域で火伏せを祈願して始まった祭りだという。獅子ではなく虎が屋根で踊る様子はスリリングで、幼心にドキドキ眺めていたのを思い出す。
仕事先で出会った印象深い祭りを他にも挙げると、石川県七尾市の「石崎奉燈祭」も、たまたま居合わせて鑑賞。100人の男衆が高さ12メートルのキリコと呼ばれる奉燈を担いで練り歩くのだから、間近で見ていて万が一巻き込まれたらと思うと、怖かった。「この日は家々で盛大におもてなしをするから、翌日のゴミの量はお正月の比じゃない」、「町を出ている担ぎ手がこの祭りに帰ってこなかったら村八分になる」なんて激しめのエピソードを地元の人から聞いたのもいい思い出だ。
まだ本番を見たことはないけれど、『ミナミソウマガジン』の取材で通っている福島県南相馬市の「野馬追」も来年こそは! と思っている。