9月8日は祭典当日にあたる。それぞれの会の行列で町を練り歩き、踊りをお披露目する時間が、朝から夜まで1日中続く。行列の騎馬隊は「小さい子」からだんだん「大人」になっていて、「かわいい」から「ダンディ」までいろんな表情の騎馬隊に出会える。太鼓と笛の音にシャンシャンという鈴の音、さらに「ヒョエー」という言いようのない奇声が被さった音色が、一団から絶え間なく聞こえてくる。
子どもを横で見守り続ける家族に混ざって、あらためて騎馬隊を眺めると、やはりその装束の美しさに目を奪われる。それに騎馬武者と馬が一体になっている造形は、なかなかにユーモラス。だけど、身につける人の動きが加わるとこんなに迫力のあるものになるのだ。
子どもの装束は手作りだそうで、お母さんやおばあちゃんが苦労して夜なべしてちくちくしたであろう刺繍が見事だった。
メイン会場では、カメラを構えた人たちもいて、大勢のなかで数々の演目が披露される。とはいえ、小さな町の祭りだから、混み合ってもみくちゃになるほどではない。同じ東北出身でもまったく知らなかった祭りだけれど、こんなに心を奪われるんだ、異世界に連れていかれるようなものを見ることができるんだ、と感動した。
有名じゃなくても、規模は大きくなくても、本物ってどこで出会えるかわからない。そんなことを、まざまざと実感させられた出来事として、藤琴豊作踊りとの出会いは私にインプットされた。
今あらためて思い返して、来年はきっと家族を連れて行くんだ!と心に誓っている。(2021年のカレンダーにも書き込んだ)。