未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
152

神奈川県相模原市

「このままじゃいけない」と生活のなかのさまざまなレイヤーで私は考える。地球全体のことを考えて、自分の日々を振り返って、どうなりたい? を自問する。いま「普通」と思われている暮らし方から移行していくことを目指す「トランジション・タウン」という動きが世界中に広まっているという。日本での先進地である、神奈川県相模原市、旧藤野町へ向かった。

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.152 |25 December 2019
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神奈川県相模原市

最寄りのICから【E20】中央自動車道「相模湖IC」を下車

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#1世界に広がるトランジション・タウンとは?

2019年を振り返ったとき、今年の顔のひとりに環境活動家のグレダ・トゥンベリさんが浮かんでくる。待ったなしの気候変動に対策を呼びかけた抗議行動で世に知られるようになり、今年ニューヨークで開かれた国連気候変動サミットでのスピーチは日本でも話題になった。未来を見据えた少女の眼差しは、多くの大人の心中をざわつかせた。もちろん、私も胸ざわつかせたひとりだ。

時同じくして、4歳の我が娘は、私が捨てるゴミを見て「もったいない。再利用しよう」と頻繁に言うようになった。これは娘が通う保育園の方針によるところが大きいのだけれど、次世代の感覚は私たちとは違うのだと意識するようになった。

じわじわと押し寄せる「未来のために変わらなくちゃ」のプレッシャーに、若干落ち込んでいたところ、我が家から車で1時間ほどの「藤野」のことを思い出した。移住者も多く、漠然と「エコ」とか「サステナブル」とか「コミュニティ」といったキーワードが浮かび、地域に根ざして暮らしていくヒントとともに語られることの多い場所だ。

あらためてパソコンに「藤野」と打ち込んでみると、「トランジション藤野」というキーワードに出合った。藤野は、現在世界50カ国以上、1000地域以上(トランジションネットワークに登録している数)にものぼるトランジション・タウンのうちのひとつ。日本では2008年、神奈川県旧藤野町、葉山町、東京都小金井市の3地域で活動が始まった。

トランジション・タウンは、パーマカルチャー*講師のロブ・ホプキンスさんが化石燃料の枯渇や気候変動問題への対応策として、英国南部のトットネスで起こした市民運動が起点。同じ地域で生活する者同士がそれぞれの創造力を使って、社会を持続可能なものへと移行(トランジション)させていく活動を実践している。

よし、その活動をこの目で見てみようと、トランジション藤野が開催する1Dayツアーに申し込んだ。

*パーマカルチャー…持続可能な農業を基盤に、永続可能な文化を築いていくためのデザイン手法。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。