未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
152

等身大の「持続可能性」に出会う 山あいのトランジション・タウン体験

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.152 |25 December 2019
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#2開発から守られてきた藤野の風土

いつも高速道路で通り抜けるだけだった藤野。初めて相模湖ICで高速を降りてみると、一般道は細く曲がりくねっていた。車窓に見える景色も想像以上に山に囲まれた土地だと実感する。

集合場所の公民館の一室には、30人ほどの人がすでに集まっていた。参加者のなかには子連れが何組か、一番多いのは30-40代の女性、60代くらいの方々も少々というメンバー。「いつもは20名くらいなんですが、今日はとても多いですね」とトランジション藤野の窓口になっている小山宮佳恵さんが教えてくれた。ちなみに小山さんは普段は藤野の観光協会にお勤めだそう。

この日は午前中にトランジション藤野についての紹介と、藤野で使われている地域通貨「萬(よろず)」についてのお話を座学で。昼食後に、実際にトランジション藤野の構成員の現場へ出向くことになっていた。

まずは藤野という地域について。藤野という名前は昔の町名で、2010年に合併した以降の行政区は、「相模原市緑区」ということになる。この住所だけ聞くとものすごい都会感。よもや山に囲まれたコンパクトな「まち」の印象を抱かないだろう。でも、藤野地域に限定すると人口は1万人を下回る。

都心から車で1時間ほどという立地にもかかわらず開発が進まなかったのは、相模湖という水源があったからだ。水源の周辺の自然環境を守る目的から、藤野の山、森は残されてきた。また、1996年に「パーマカルチャーセンタージャパン」が開設、2004年にはシュタイナー学園がこの地に開校した。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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