未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
152

等身大の「持続可能性」に出会う 山あいのトランジション・タウン体験

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.152 |25 December 2019
この記事をはじめから読む

#6材料代はタダ? 廃材でリノベーション

次に向かったのは、使われなくなっていたプレハブの工場を廃材でリノベーションして生き返らせた「廃材エコヴィレッジゆるゆる」だ。「ここにあるものは99.9%捨てられたものでできています」と村長の傍島飛龍さんが説明してくれた。

開村から6年。イベントに参加したり、村長や村民の紹介があればなれるという「ゆるゆる村民」は400人になり、ここでもさまざまな分科会が立ち上がりつつあるという。訪ねたのはちょうどイベントの日で、大勢が出入りしている「村」の姿は、随所にカラフルな意匠が散りばめられている。

廃材で作られたトイレだってときめきの仕上がりなのだから、ピカピカのウォッシュレットトイレと比べてみたら……と頭のなかで並べてみて、価値ってなんてあやふやなものなのだろうと改めて考えた。

最後には視察のドネーション(寄付)をする。自分で決める値段って難しいな、と改めて思った。地域通貨にしても、ドネーションにしても、自分の価値観や相手との関係性を適切に扱う必要がある。漫然と現金を払うより、心地よい試されている感。便利な世の中で、自分が子どもの頃よりもぼーっと生きているなぁと感じる私には、こういうお金との向き合い方がもっと必要かもしれない。

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。