未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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荒川とガンジス川は繋がっている!

インドの人々と巡る、東京インド旅。

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.97 |25 August 2017
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#5インドが詰まったちいさなお店

カラフルなインドのパッケージ。

 そういえば、西葛西の駅前で話しかけたプラヴィーンさんが教えてくれたインド食材の店に行ってみたい。そう言うと、チャンドラニさんが連れて行ってくれるという。

「西葛西は電線がないんですよ。地下に埋まってるから、空が広くていいでしょう」

 街を歩きながら、西葛西のことをいろいろと教えてくれる。すれ違う人は、日本人もインド人も、チャンドラニさんを見て挨拶していく。まさに西葛西リトルインドの父。

 駅を越えて東方面に出て歩くと、インドの国旗が見えてきた。「スワガット インディアン バザール」は、インド食材を取り扱う小さなお店。ドアを開けると、暑く湿った東京の匂いが、途端にインドのスパイスの香りに変わる。色とりどりのパッケージ、や固形のスパイスたち。ここは、インド? と錯覚するほどにインドが詰まっている。

 店主はインドのガヤーから来ているアロック・クマルさん。26歳とまだ若い彼は、おじいさんが経営するこの店を手伝うために日本に来た。お店のお客さんは、ほとんどがインド人だという店内には、インドのお米やお菓子などに混じって、時々日本のものも売っていたりする。

店主のアロックさん。あまり休まないというくらい、お店が好き。
店内に所狭しと詰め込まれたインドの食材やスパイス。

 ちょうどその日買い物に来ていたのは、日本にいるインド人の娘さんと、彼女を訪ねてきたご両親。日本にいながらにして、お母さんの手料理が食べられるのは、このお店があるおかげだ。

 チャンドラニさんおすすめのバナナチップスとチャイを購入して、店を出る。本場のチャイは数年ぶりだ。インドで買ってきたチャイが、自宅でうまく煮出すことができなかったのを思い出す。今回買ったのはお湯に溶かすタイプだから大丈夫だろう。

 駅まで送ってくれたチャンドラニさんにお礼を言うと、優しい顔で「いつでも戻ってきていいからね」と笑いかけてくれた。インドから見知らぬ国に来た人々が、ここに集う気持ちがわかったような気がした。

 日本の駅前の風景の中に、白髪のインド人が紛れていく。それは西葛西にとって当たり前の光景だ。


未知の細道 No.97

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

東京のインドを巡る旅プラン 1泊2日

予算の目安1万5千円〜

最寄りのICから【C2】首都高速中央環状線「清新町」を下車
1日目
ランチは「印ストリート」で、インドのファーストフードを食べてみよう。軽くおなかを満たしたら、買い物へ。駅前は長い商店街になっているので、散策しながらインド食材店「スワガット インディアン バザール」に向かおう。インドの雰囲気を感じながら買い物ができる。店主のアロックさんにオススメの商品を聞いてみると、掘り出し物に出会えるかも!
2日目
朝から、お菓子やお弁当を持って葛西臨海公園へ。水族館や観覧車を楽しむもよし、波の音を聞きながら芝生で寝転ぶもよし。夜ご飯は、「スパイスマジック カルカッタ」にて。本場のインド人スタッフに言えば、辛さを調節してくれる。マンゴーラッシーはカレーとの相性抜群!

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

ウィルソン麻菜

1990年東京都生まれ。学生時代に国際協力を専攻し、児童労働撤廃を掲げるNPO法人での啓発担当インターンとしてワークショップなどを担当。アメリカ留学、インド一人旅などを経験したのち就職。製造業の会社で、日本のものづくりにこだわりを持つ職人の姿勢に感動する。「買う人が、もっと作る人に思いを寄せる世の中にしたい」と考え、現在は野菜販売の仕事をしながら作り手にインタビューをして発信している。刺繍と着物、野菜、そしてインドが好き。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。