未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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100時間、絶食したことはありますか? 世にもストイックすぎる成田山新勝寺の断食修行に挑戦!

100時間、絶食したことはありますか? 世にもストイックすぎる成田山新勝寺の断食修行に挑戦!


千葉県成田市

成田山新勝寺に伝わる昔ながらの断食修行。それは、現代で最もストイックな断食体験かもしれない。ケータイ、パソコン、インターネットは一切禁止。極楽はあっても娯楽はなしの軟禁状態で、水だけで生きる3泊4日。その100時間を超える絶食で身体にどんな変化が起きるのか。二宮尊徳、水戸光圀、市川團十郎……数々の偉人たちも挑戦したという伝説の断食に挑む!

文= 志賀章人
写真= 志賀章人
未知の細道 No.67 |25 May 2016
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千葉県

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#1一週間前にして断食修行の厳しさを思い知る

「ケータイの持ち込みは禁止ね。というか、パソコンとかコンセントに挿すたぐいは一切禁止だから」

受話器の向こう側から、厳しめの声が聞こえてくる。

「隠し持ってたりしたら入堂させないよ。ここは修行する場所だから」

成田山新勝寺。それは一般人が体験できる最もストイックな断食道場かもしれない。デトックスとか、ダイエットとか、そんなゆるやかな断食とは断じて違う。寺ごもりの断食は、ガチ道場でガチ修行。野菜ジュースや酵素ジュースもなく、水のみ!……らしいのだ。

「お不動さまのご加護のもと、不動の信念と、心身の鍛錬を体得することにあります 」

新勝寺のホームページにはそう書いてある。電話予約は1週間前に済ませる必要があり、2泊3日から6泊7日まで選べる。費用は2泊3日で5000円。以降、プラス1泊ごとにプラス1000円。ダイエット系の断食施設だと2泊3日で3万円はくだらないことに比べると、おそろしく安い。

というわけで、おそるおそる電話をかけてみると、聞こえてきたのが冒頭の厳しい……というより凛々しい声。お寺の人ならではの低くて太い声だったというわけだ。そして、禁則事項はまだまだ続く。

「飲食物の持ち込みは禁止。ミネラルウォーターも禁止。仏教に関係のない小説など、娯楽関連は一切禁止。断食がはじまったら外出禁止で入浴禁止。当然だけど、見苦しい格好も禁止ね」

早くも怒られているような気持ちになってくる。

「ボールペン、ノート、保険証、着替え、タオル、歯ブラシ、仏教関連本……」

必需品を念仏のように聞かされたあと、「ケータイはほんとにダメだから」と念をおされる(カメラの持ち込みは許されているが、道場内は基本的に撮影禁止)。

3泊4日でお願いします……身が引き締まる思いでそう告げると、最後に一言。

「じゃあ、当日は朝8時に藤倉クリニックという病院で健康診断ね。終わったらすぐ寺に来るように。9時までに来ないと入堂させないから」

「か、かしこまりました!」そう言って電話を切ると、フゥー……っと深いため息が出た。

かしこまり方を間違えた気がした。

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未知の細道 No.67

ライター 志賀章人(しがあきひと)

「え?」が「お!」になるのがコピーです。
コピーライターとして、核を書くことで、あなたの言葉にならない想いを言葉にします。
京都→香川→大阪→横浜で育ち、大学時代にバックパッカーとしてユーラシア大陸を横断。その後、「TRAVERINGプロジェクト」を立ち上げ、「手ぶらでインド」「スゴイ!が日常!小笠原」など旅を通して見つけたモノゴトを発信中。次なる旅は、夫婦で世界一周!シェアハウス暦8年の経験から、子育てをシェアする未来の暮らしも模索中。
伝えたいことを、伝えたいひとに、伝えられるようになる。そのために、仕事のコピーと、私事の旅を、今日も言葉にし続ける。
「新聞広告クリエーティブコンテスト」「宣伝会議賞」「販促会議賞」など受賞・ファイナリスト多数。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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