未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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プリンの神様直伝の味にうっとりトロトロ プリンを覗くと何が見える?

文= きえフェルナンデス
写真= きえフェルナンデス
未知の細道 No.267 |25 October 2024
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#4プリンの神様現る

宿を始めて3年ほど経った2016年のある日、お茶菓子をプリンにしよう、と考えた。

「プリンってみんな好きじゃないですか。小さい子どもから老人まで、歯が悪くても食べられるし。その時は、妻が開発したプリンを出していました」

ここからあさひやでは、おもてなしプリンを出し続けた。評判はよく、経営も順調にいった。2016年には、楽天トラベルアワードの北陸地区リトルスター賞を受賞。それ以来、6回連続トータル8回の受賞に輝く、人気旅館となった。

コロナ禍で、3カ月ほど赤字になったものの、池田さんにはどこ吹く風。ピンチは、新しいことをするチャンスだと考え、宿泊客が減ったからこそできる宿の改装や設備投資を行った。

2021年10月18日、最大年間販売数2700万個の大ヒット商品「パステルなめらかプリン」の生みの親で、「プリンの神様」と呼ばれている所浩史シェフのセミナーが氷見市であり、参加した。「お客様がファンになる商品開発の極意」を教えてくれるというものだった。所浩史シェフは、地元の食材を使ったご当地プリンの開発を指南し、全国を回っていたのだ。

ちょうど同じ頃、氷見市の道の駅である、ひみ番屋街からも「空き物件があるけど、興味ない?」と声がかかっていた。

「所さんの話をきくうちに、道の駅に新しい観光スイーツを販売するお店があったら面白いな。旅館だけではなく、たくさんの方に食べてもらいたい、せっかくなら氷見の名物になるようなものにしたい、と思ったんです」

氷見といえば、海越しから見える立山連峰。池田さんはそのイメージで作ることにした。所さんに監修してもらい、新しいプリンができあがった。プリンの神様が監修した神の山をモチーフにしたプリン。それが「氷プリン」だ。

ずらりと並ぶ氷プリン。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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