未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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プリンの神様直伝の味にうっとりトロトロ プリンを覗くと何が見える?

文= きえフェルナンデス
写真= きえフェルナンデス
未知の細道 No.267 |25 October 2024
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#2氷見生まれの「氷プリン」

訪ねたのは、富山湾に面した道の駅「氷見漁港場外市場ひみ番屋街」(以下、ひみ番屋街)。風が運ぶ潮の匂いが心地良い。漁師の作業小屋である番屋をイメージして設計されたという建物のなかには、小さなお店が軒を連ねている。

ひみ番屋街にはグルメ、特産品の店が並び、温泉もある。

「1番人気のこちら氷プリンは、青色の部分がラムネのジュレでございます」

「ひみぷりん」の看板が見えると同時に声がきこえてくる。

「海越しの立山連峰を表現したプリンになっております。爽やかでね、シャリシャリっとした食感になります」

  • ひみぷりんのスタッフ、小橋さん。
  • ひみぷりんのショーケース。

声に吸い込まれるようにショーケースの目の前に立ち、生唾を飲み込む。
<きれい……>
晴れ渡った日の澄んだ海のようなブルーのプリンが目を引く。

取材時間より早く到着したため、プリンをいただくことにする。ひみぷりんのショーケースには、氷プリンの他に塩チーズプリン、なめらかプリン、塩キャラメルプリン、シャインマスカット、いちじくプリンが並んでいる。ラインナップは季節によって変わるらしい。私は、一番人気の「氷プリン」を注文した。

透き通るブルーのジュレが乗ったプリン。小さな袋が付いてくる。氷砂糖が中に入っていて「お好みでかけて食べてください」とのことだった。

中庭に移動し、ウッドデッキに座り、氷プリンとご対面。まずは、そのままいただく。さわやかな青いジュレの下には、濃厚でトロトロなプリンが隠れている。

人気ナンバーワンの「氷プリン」。「氷」とプリントされた小さな袋に入った氷砂糖がついてくる。

<ふおおおおお!>
一人なので声を出さずに、叫ぶ。

<なにこれ、うんまー!!>
自然と足がバタバタする。

あっさりしたラムネ味のジュレと、まろやかでクリーミーなプリンの相性は、抜群だ。
一口食べた後で、付属の氷砂糖をかけて食べてみる。

シャリシャリシャリ。

氷砂糖の食感が加わることによって、また新しいプリンを食べているような、一粒で二度おいしい気持ちになる。食べ進めると出てくるバニラビーンズの味わいもたまらない。

「ここ暑くないですか?」

プリンを食べ終わり、瓶に指を突っ込んで底についたプリンのかけらを舐めてしまおうかとお行儀の悪いことを考えていたときに、池田匠さん(41歳)が現れた。「ひみぷりん」のオーナーシェフだ。

その日の気温は33度。暑さを忘れて、プリンに夢中になっている間に、約束の時間になっていた。館内のフードコートに入る。窓際に並ぶように座り、ひみぷりんが誕生した経緯を聞いた。

オーナーシェフの池田匠さん。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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