2024年8月13日の夜にもう一度戻ってこよう。
子どもも大人も櫓を囲んで繰り返し踊っているうちにすっかり日が沈み、ふと気がつくと、高さ2.6メートル、幅3.6メートルの巨大スクリーンがライトアップされていた。
2023年に佐久市に移住し、同時に佐久市子ども未来館の館長に就任したTOPAさんの身体パフォーマンス「ミナカタ」のはじまりだ。
「ミナカタ」は、古事記に登場するタケミナカタにまつわる神話を元にした身体パフォーマンス。
傍らには月夜に照らされたどうらくオルガン。夜空の下でミナカタを全身で演じるTOPAさんに惹きつけられるように、大人も子どももじっと見入る。盆踊りの合間にふいに現れた神秘的な時間だった。
ところで、インターナショナルというくらいだからたくさんの外国人がいるのかと思ったけれど、当日、そこまで外国人は見当たらなかった。太鼓を叩いたウーファーのサリーのほかは、常連だという中国人と日本人の夫婦と、フランスから滞在しているという男性が1人。
雄さんによると「お恥ずかしながら、インターナショナルといえるほど外国人が参加しているわけじゃないんです」。かといって、大々的に集客してオーバーツーリズムのようになるのは、「僕らの目指すものではないと思っている」。依田夫妻にとっては、そこに居合わせた人が少しずつ関わりながらじわじわと定着していくことが望ましいのだという。
パフォーマンスのあとは、ダメ押しでもうひと踊り!
踊り手として櫓の上にあがったのは、依田夫妻の一人娘、みずきさん。
「子どもがみんなが登りたがって櫓がぐらぐらしてしまったので、来年は子どもも一緒に踊れるように子どもステージを考えないと!」
自身も一児の母であるみずきさんは、今年はこれまでで一番子どもがたくさん参加してくれた、と嬉しそうだ。
今回初めて参加したという近所の農家ファミリー、松野さんに話を聞いた。
「毎年畑で、盆踊りの音やライブの音が風に乗って聞こえてました。なんだろねーって思っていたら、今年は小学校でチラシが来たので詳細を知ったんです。めちゃ楽しかったから、来年もまたきます!」
お蔭さまさま どうらくオルガン
音の國から やって来た
御牧 美空に 鳴り響く
幸せを呼ぶ 森の音
We’d like to think about Doraku Organ
It came from paradise of music
Everytime singing to sky of mimaki
Everyone are dancing on Mimaki plateau
まさに、幸せを呼ぶ森の音が、松野さんファミリーも惹きつけたようだ。松野さんの1年生と5年生の子どもたちは、浴衣姿で櫓の周りを走り回っていた。
盆フェスの後は、恵さん手作りのごはんでメンバーたちが「かんぱ~い!」。食事とお酒を楽しみながら語り合うのは、依田さん夫妻のいつものスタイル。
「里から始まるインターナショナル盆踊りフェスタ」は、誰もがゆるく関わり合える、愉快であたたかなみんなの帰る場所だった。
来年の夏も、私はきっとまたここに”帰って”きたい。