未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
262

じゅんさい摘み採り世界選手権、参戦記! “てっぺん”目指して沼に漕ぎ出す

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.262 |13 August 2024
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#32冠宣言の少年

やる気満々だった小学生の兄弟。

女性ふたりに話を聞いた後に声をかけた小学校6年生の少年も、本気だった。秋田市からおばあさん、お母さん、小学4年生の弟と一緒に来たという少年は、3回ほどじゅんさい摘み採りの体験をしたことがあるそうで、大会は初挑戦。

「なんで出場しようと思ったの?」

「とにかく自分はすごいぞって見せつけたい」

「ということは、優勝狙ってきたんですね」

「はい! 弟と一緒に出ます。刃がついている爪も買ってきました」

明らかにプロ仕様のグッズ。

アツい。しかも、用意周到。

「優勝したら、こんなことがしたいとかありますか?」

「メダルとかもらえるなら、学校に持って行って表彰してもらいます」

「いっぱい採らなくても、きれいに摘み採れたら表彰されるみたいだけど、どっちを狙う?」

「両方っすね」

かっこいい! 12歳の2冠宣言に、僕は痺れた。そして、気づいた。二組に話しかけて、二組とも明らかに本気の優勝狙い。この会場にいる人たち、もしかしてみんなガチンコでてっぺんを取りにきてる!? 

周囲を見渡せば、会場は一見、和やかな雰囲気に包まれている。しかし、胸の内では熱い炎をたぎらせていたのかもしれない……。 2冠宣言の少年は、弟と一緒に開会式で選手宣誓の大役を担っていた。ふたりの元気いっぱいの宣誓で、熱戦の火ぶたは切って落とされた。

堂々と立派に選手宣誓した兄弟。(撮影:サオリス・ユーフラテス)
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