未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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うまい!だけじゃないローカル店の魅力と強み 秋田の回転寿司職人が日本一になった理由

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.261 |25 July 2024
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#4初出場で予想外の好成績

2017年5月、23歳の永田さんは社長、店長とともに上京し、新宿の四谷区民ホールで開催される大会に臨んだ。初出場で社長、店長も同伴しているという状況にプレッシャーを感じそうなものだが、「あんまり緊張しないタイプなんです」。

「ほかの職人さんとは大会当日に初めて顔を合わせるので、名刺交換しながら挨拶をして。ライバル意識は、まったくありません。みんなで仲良くやりましょうっていう感じですね」

トップを狙うでもなく、気後れするでもなく、自然体で臨み、6位入賞。本人も想像しなかった順位ながら、「意外と上にいけるんだな。まあ、たまたまか」と思っていたそうだ。この鷹揚とした雰囲気は、永田さんの人柄からくるものだろう。しかし、2018年に参加した2回目、2023年に参加した3回目も同じ6位に終わると、悔しさを感じるようになった。

取材の受け答えからも、おおらかで実直な人柄が伺えた。

「さすがに3回連続で6位になると、自分はこれ以上、上のレベルにはいけないのかなって思いますよね。自分としては、1年目よりすべてにおいて成長しているつもりだから」

社長と店長は、そう感じていなかったようだ。3回目の挑戦が終わった後、「来年も出るよ」と言われた。思い浮かんだのは、「もう、おれじゃなくていいんじゃないか」。その言葉を飲み込んで、気持ちを切り替えた。

そして2024年の年が明けた頃から週に1、2回のトレーニングを再開。3回目の大会で握りのスピード不足を感じた永田さんは、課題克服に向けてスタートを切った。迎えた5月、4回目の挑戦はかつてないほど気合いが入っていた。

「上からは、もうこれが最後だよと言われていたので、ちゃんとやらなきゃなと。常連さんからも、これまで以上に応援の声をかけてもらいましたし、今回初めてお店の従業員からお守りをもらったんです」

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