栃木県那須郡
栃木県那須町にある森林ノ牧場は、森のなかで牛を放牧している。大ヒット商品「バターのいとこ」の共同開発者で、「酪農を基点にしたコミュニティを作りたい」と語るオーナー、山川将弘さんの歩みを追った。
最寄りのICから【E4】東北自動車道「那須高原スマートIC」を下車
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この牛乳は、牛乳じゃない……と書くと誤解を生みそうだけど、それが僕の第一印象だった。一度、口に含むだけで、違いがわかる。スーパーやコンビニで売っている牛乳とは、まったく別物なのだ。舌の上でとろけるような甘みがあり、まるで上質の生クリームのよう。でも、口当たりはシルクのように滑らかで、身体にスッと溶け込んでいくような爽やかさもある。
その牛乳は、那須塩原駅から車で30分ほどの場所にある森林ノ牧場で作られている。この牧場で暮らす20頭の牛たちは、国内の乳牛の0.8%しかいない淡い茶色をしたジャージー牛。牛乳は濃厚な味わいが特徴だ。
約8ヘクタール(東京ドームで換算すると約1.7個分)の牧場で放牧されている牛たちは、一頭、一頭、名前で呼ばれている。牧場はなだらかな丘にあり、森を切り拓いた放牧地の一部は、来場者に解放されている。僕が訪ねた日も、今年生まれたばかりの子牛が森のなかで気ままに過ごしていた。
なんとも微笑ましいその姿を間近に臨むことができるこの景色は、決して当たり前ではない。森林ノ牧場の代表、山川将弘さんの並々ならぬ覚悟で育まれてきた。