未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
246

結城市唯一の小さなブルワリーができるまで 元校長先生が造るクラフトビール

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.246 |25 November 2023
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#3一番になるために「結城にないものをつくる」

再雇用の話もあったが「教員には戻らない」と断り、紹介された茨城県近代美術館で働き始める。

美術館は、ロビーから千波湖の美しい水面が見える場所だった。夏は涼しく、冬は暖かい。給料も良く、世間一般で言う「高待遇」だった。

「ここで5年間働けることになりました。週4日勤務だから、毎月仲間とゴルフに行く余裕もある。でも、ふと思ったんです。5年後、私は65歳。その時になにか始めたいと思っても、体が思うようには動かないかもしれないって」

その時、塚越さんは「この世に、自分が存在した証を残したい」と考えたという。

「なにかで一番になれば、自分が生きた証が残る。日本で2番目に高い山は?って聞かれてもなかなか答えられないけど、日本で一番高い山は誰でも知っているでしょ」

一番になるには、誰もやっていないことを始めればいい。塚越さんは、「結城にないものはなんだろう」と考えた。

友人たちに相談すると、「結城市には金がない!」「ビルがない!」などと盛り上がった。そのうちのひとりが「結城市にはビールがない」と言った時、ピンときた。

「ビール造りをしている友人から、『ビール造りは意外と簡単なんだ』と話を聞いたことがありました。それに結城ならではのビールができれば、生まれ育った結城のまちおこしにもつながる。そう思って後輩とふたりでビール造り体験に参加したんです」

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

結城市唯一の小さなブルワリーで、クラフトビールを飲む旅

最寄りのICから【C4】圏央道「五霞IC」を下車
結城紬の着物を羽織って、見世蔵や寺社巡りへ。駅前の観光案内所に立ち寄って、おすすめのコースを尋ねることもできる。喉が乾いたら、「結城麦酒」のクラフトビールで喉を潤そう。
株式会社 結城麦酒

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

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