『イタリアン料理楽生流』は、シェフのラウルさんこだわりの食材をふんだんに使ったレストランだ。特に工夫されているのが、海外や県外から取り寄せた高級食材と上質な茨城県産の食材を組み合わせたラウルさん独自のスタイルによる料理。
例えば本場イタリアから輸入した小麦粉と、まだ珍しい茨城県産の小麦粉をブレンドした粉を、薪窯で焼き上げるピザは、もちもちで、かつ食べやすい味わいのパン生地が特徴だ。チーズは日本人も食べやすい、クリーミーなブッラータ・チーズなどイタリア産などのほか、常陸太田産のモッツアレラチーズが使われている。そして周辺のいくつかの若い農園が手がける、新鮮で見た目も美しい野菜も取り寄せている。さらにはイタリアのスモークベーコンや岩手県産の希少な蜂蜜など、随所に珍しくて味わい深い食材が使われている。
前菜には、南アメリカではお馴染みの豆類を使った料理も多い。生まれ故郷のコロンビアでは「豆料理はそれぞれの家の味、お母さんの味なんだ」とラウルさん。この日の前菜にも、小さなグラスに鮮やかな赤色の豆「フリホーレス」とトマトを使った、上品な一口冷製スープが添えられていた。これはスペインの伝統的なスープ、ガスパッチョやイタリアのトマト料理、そしてコロンビアの味をミックスした、ラウルさん独自の一品なのだ。
パスタもお馴染みのジェノベーゼや上質なハムやチーズ、エビやキャビアなどの高級食材まで、さまざまな旬の食材が使われている。メインは肉や魚のグリルが中心で、最後はフルーツやチョコレート、チーズたっぷりのティラミスやジェラートまで、本格的なイタリアンのフルコースが食べられるのだ。それだけではなく、年に数回、ステーキやチキン煮込み煮に豆料理を添えた本場のコロンビア料理が食べられる期間もある。
楽生流がオープンして4年目となる今、幾つも国の味わいをミックスした本格的でかつ新しい料理のおいしさは、口コミでじわりと広がり、その間のコロナ禍さえも乗り越えた。いまでは近所の常連さんだけではなく、噂を聞いた県外や都内の人までが、わざわざ車でしか来られないこの店までやってくるようになったのだ。土日のランチ時になれば静かな里山は一変したように人が集まり、外の椅子に座って席が空くのを待っている。
「50席が満杯になり、それを2回転するのだから、本当にとても忙しいよ! ラウルがもう一人欲しいくらい!」ラウルさんとスタッフたちは口を揃える。
でもその顔は、とても嬉しそうだ。