「来年からは、ついに正社員を入れるんですよ!」とラウルさん。地元の大学4年生のさきちゃんだ。学生アルバイトとしてここで働いてきた彼女はこの店が大好きで、就職活動をしてみて、ここより面白い職場はない! と気付いたのだという。「だからここに就職したい、と言ってくれたんだよ。嬉しいよね」とラウルさん。正社員入れるのも大きなチャレンジですよね、と私が問うと、ラウルさんは大きく頷いた。
これからのラウルさんの目標は、初めての正社員を大切に育てること。そして、やがて店に戻ってくる奈美さんとスタッフたちと共にこの店を回しながら、さらに自分は新しいプロジェクトに挑戦していくことだ。
実はラウルさんはコロナ禍以降、普段のお店に加えて、月一回程度、お祭りやフリーマーケットなど、周辺地域のイベントに出店している。コロナ禍で売り上げを落とさないよう「お客さんを待っているだけではなく、探しに外へ出よう!」と実践してきたイベント出店を、忙しくなった今もなお地道に続けいているわけだ。そのようなイベントに出るときは、他のスタッフに店を任せるので、ラウルさんがいない時に店を切り盛りできる正社員を育てていくのは、未来の楽生流のための重要な仕事なのだ。
「アヴィエントゥーラだからね」とラウルさんは言った。
「アヴィエントゥーラ」とはスペイン語で「冒険」という意味だ。
「日本に来た時は日本語もできない、そう、まるで赤ちゃんみたいなものだったよね。でも人生はひとつしかない、そこでやれることをやる」
いまラウルさんは、まだ日本では誰もやっていないような、ある大きなプロジェクトを密かに計画中だ。ワクワクするような計画だが、「これはまだ秘密!」ということで、詳しくはここでは伏せておく。それが実行されるのは、さきちゃんが一人前になって店を任せられる1、2年後かな、とラウルさんは言った。
世界中を移動しながら料理と人生の旅を続けてきたラウルさん。その冒険はまだまだ続く。
未知の細道の旅に出かけよう!
町と人を変えたコロンビア人シェフの冒険
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