「立ち止まってやらない理由を探せばいくらでもあるんですよ」
気候変動・気温の上昇を肌で感じていても、それがどの程度人間の活動の影響なのか、人間の活動内容を変えたら状況は変わるのかはわからない。中国・インド・アメリカがコミットしていないのに、他の国がどれだけ変化を食い止めようとしても意味がないという議論もある、と小嶋さんは前置きをした。
「ただ総合的に考えて自分はやったほうがいいと思ったし、どうせやるなら日本で一番とか、東日本で初とか、言えるうちにやったほうがいい。同じことを同じ努力でやるにしたって、早くやったらニュースに取り上げられる分、ちょっと得じゃないですか」
いたずらっ子のような笑みが小嶋さんの顔に浮かぶ。「やろうと決めたことをひとつずつやっているだけ」という裏側には、もちろん冷静な経営者としての戦略もあるのだろう。
経営者としての判断とは違う視点で小嶋さんが気候変動に対して意識しているのは、世代間ギャップだ。
「年齢が上であればあるほど、こう言ってはなんですが、資源を使いきって逃げ切れる可能性が高いですよね。いい状態の地球、いい状態の気候のなかで自分の人生は終えられるかもしれない。だけど、自分の子供はどうなるのか。いま20~30代の人たちにとっては、気候変動が今後どうなっていくかは自分の問題なわけです。世代間ギャップの逃げ切り側ではいたくありません」
取り組んでいることが完全な解決策かどうかは別として、やればできることはすぐにやろう、というスピード感の裏には、次世代を想う小嶋さんの強い気持ちがあった。