山形県米沢市
安土桃山時代に米沢の地で創業した酒蔵・小嶋総本店。そこでは24代蔵元が、400年の伝統を守りながらも、自らの活動をひとつずつ見直して持続可能な「攻め」の酒造りを行っていた。
最寄りのICから【E13】東北中央自動車道「米沢八幡原IC」を下車
最寄りのICから【E13】東北中央自動車道「米沢八幡原IC」を下車
9月初旬の朝、JR奥羽本線の山形駅から電車に乗り込んだ。前日の夜に集中豪雨が降ったからか、傘を持っている人が多い。私も前回登場したのがいつか思い出せない折り畳み傘を引っ張り出してきたものの、今日も日差しが強く、扇子の方が活躍しそうだ。
通勤・通学ラッシュとは逆方向に向かう少人数を乗せた電車は、山形の市街地を抜けると、大きなガラス張りの窓に稲穂の絨毯を映し始めた。次々に車窓に表れては通り過ぎる田んぼは、黄緑色から黄金色のグラデーションに彩られている。何百年も、この地域でこの季節に見られてきた光景だろう。
だが、近年の気候変動は「いままで通り」を許さなくなってきている。気象庁が発表したところによると、今年6月~8月の平均気温は1898年の統計開始以降で最も高かったらしい。山形市では8月中、35度以上の猛暑日がなんと20日間もあった。暑いを通り越して沸騰している。
この環境下で、400年以上の歴史を持つ酒蔵が持続可能な酒造りに挑戦していると知り、話を聞くために私は米沢駅に降り立った。駅の真正面で私を待っていたのは「米澤藩上杉家御用達 東光」の看板。これから向かう小嶋総本店が醸す日本酒の名前だ。