未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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創業400年以上の老舗酒蔵、24代蔵元の挑戦 酒粕で酒蔵の電力を100%まかなう完全循環。自然と共生した持続可能な「攻め」の酒造りとは。

文= ロマーノ尚美
写真= ロマーノ尚美
未知の細道 No.243 |10 October 2023
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#3新しいこと・先進的なことを肯定する環境で学ぶ

小嶋健市郎さんは1980年、小嶋総本店の長男として米沢で生まれた。「家業を継いでほしい」という周囲からの期待を幼い頃から感じてはいたが、それを嫌だと思ったり、気負ったりすることなく育ったという。

小嶋総本店第24代蔵元、小嶋健市郎さん

高校まで米沢で過ごした小嶋さんは、大学進学を機にいったん故郷を離れる。「家業を継ぐか継がないかだけでなく、事業というものを身近で感じて育ってきたので商売のやり方に関心があった」という小嶋さんが進学先に選んだのは、慶應義塾大学の総合政策学部(SFC)。他にも経営やマーケティングが学べる大学を受験したものの、既存の縦割り学部ではない教育を目指すSFCの考え方に惹かれたのが決め手だった。

「新しいことや先進的なことをやるのはいいことだ、という空気がある場所だった」と小嶋さんはSFCを回想する。周囲にも学生の枠を出ようとする人が多かったという。小嶋さんも在学中の一時期、ECモール向けにコンサルティングをしている会社にインターンとして入り、WEBの運営やプログラミングなどを習った。学校に行く代わりにほとんど毎日会社に出社する時期もあったそうだ。

就職活動はマーケティングや経営企画に関わる職種に絞って取り組んだ。総合職採用のみで入社後の職種がなにになるのかまったく保証がない企業が多かったなかで、職種別に近い採用をしていてマーケティング職を前提とした内定を得られたユニ・チャームに入社したのが、2004年。研修のため1年間営業を経験した後は、ブランドチームでブランドマネージメントやプロダクトマネージメントを担当した。

「ブランドチームって会社のすべての機能に対してブランドで横ぐしを通しているので、会社全体が見渡せるんですよ。製造業での会社組織が商品というひとつの軸を通してどんな風に動いているのかを感覚的に理解でき、非常に学びの多い期間でした」

会社がうまく回っている状態というのは、どういうものなのか。時には家業と照らし合わせながら、小嶋さんは視点の引き出しを増やしていった。

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