未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
222

千葉県富津市

「竹のみ」を使って音楽を奏でる楽団が、千葉県富津市にあるらしい。しかも、千葉の山々に生えている竹を切り出し、楽器を手作りし、演奏までを自分たちでおこなう。竹って一体どんな音が出るのだろう? その魅力が知りたくて、「房総楽竹団(ぼうそうらくたけだん)」のミニライブを聴きに富津市へ向かった。

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.222 |25 November 2022
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千葉県富津市

最寄りのICから【E14】館山自動車道「木更津北IC」を下車

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#1本当に「竹だらけ」の演奏会

ミニライブの会場である富津市の「天神山コミュニティセンター」に到着すると、すでにお客さんが何人か待っていた。そこは古民家のような木造の平屋で、目の前は畑と山という、のどかな場所だ。子連れのお客さんも多く、子どもたちが会場の周りを走り回っている。

ポーン、ポーン。

会場のなかから不思議な音が聞こえてきた。なにかを叩いているようだけど太鼓とはちょっと違う、あまり聴きなれない音だ。会場の横の木々の間からは、ピョロローと笛のような音も。演奏会前の音出しのよう。けれど、こちらもどんな楽器なのかはわからない。

見たこともない楽器ばかりでわくわくする会場

会場に入ると、楽器がずらりと並んでいた。木琴や笛のような、音が想像できるものもあるけれど、切り出してきたままの竹を並べたようなものもある。一体どうやって使うのだろうか……。

開演時間が近づき、50席ほど用意されていた椅子がどんどん埋まっていった。みんな小さな声で話したり、きょろきょろ周りを見回しながら、始まりを待つ。すると突然、先ほど聴こえたのと同じような、ポーンポーンという音が廊下から聴こえてきた。音は何重にも増えていき、リズミカルな曲とともに奏者が入場。ポンポンと竹の切り口を叩きながら行進してくる。竹だらけの楽団「房総楽竹団」のミニライブの始まりだ。

長さの違う竹をポコポコと叩きながら入場したメンバー

1曲目は『プリンク・プレンク・プランク』という、ルロイ・アンダーソンの作品。物が落ちたり転がったりする「ポトン、コトン、パタン」などの音に由来しているという曲名のとおり、ポコポコといろんな場所から代わる代わる音が鳴ってくる楽しい曲だ。オーケストラでは弦楽器の弦をはじいて演奏される曲だけれど、房総楽竹団はもちろん、竹のみを使って表現する。 

4本の竹が組み合わさった楽器をひとりずつ持って登場した奏者たちは、それぞれの担当するタイミングに竹を叩いて楽しそうに音を奏でた。思わずこちらもリズミカルに体を揺らしてしまうような曲だった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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