未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
219

青森県八戸市

鳥瞰図とは、まるで空の上から鳥が見る風景のように描かれた地図のこと。大正から昭和にかけて活躍した鳥瞰図絵師・吉田初三郎は、ことのほか八戸の風景を愛し、アトリエを建てて八戸に移り住んだ。吉田初三郎が見た景色と、現代の八戸で初三郎の歴史や作品に関わりながら生きる人々を追う。

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.219 |11 October 2022
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青森県八戸市

最寄りのICから【E45】八戸久慈自動車道「種差海岸階上岳IC」を下車

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#1種差海岸へ

種差天然芝生地

太平洋に面した八戸市。中心部から海沿いを南下すること30分。陸奥湊を過ぎ、蕪島(かぶしま)を過ぎると、その先は雄大な海と奇岩が広がる絶景だ。やがて種差海岸(たねさしかいがん)の中心地、「種差天然芝生地」へとたどり着く。

この種差海岸を「日本一の海岸美」と褒め称え、やがてアトリエを構えて、移り住んだ画家がいる。大正から昭和にかけて活躍した鳥瞰図絵師・吉田初三郎(1884-1955)。京都に生まれ、洋画家を志すも、鳥瞰図を制作する商業芸術家に転向し、成功を収めた人物だ。
鳥瞰図とはまるで鳥が見下ろす風景のように描く技法の地図のことで、山や建物を立体的に描き出す。初三郎の鳥瞰図は、どんな地方からでも遠くに富士山が入っているなど実際にはあり得ないような大胆なデフォルメが特徴で、人気を博した。日本全国の土地を調査し、その鳥瞰図を1800点も描いたという吉田初三郎が、とりわけ愛し、ついには移り住んだという八戸そして種差海岸は、いったいどんなところなのだろうか。秋の八戸に、私は行ってみることにした。

1933年(昭和8年)に作られた吉田初三郎の「八戸市鳥瞰図」
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。