未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
208

山形県山形市

多様な温泉地が存在する地熱大国ニッポン。「その湯はどこから来たのか?」を探ると、ひとつの答えが見えてくる。湧きたての湯に浸かるべく、東北の名湯・蔵王温泉へ。

文= Numa
写真= Numa
未知の細道 No.208 |25 April 2022
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山形県山形市

最寄りのICから【E13】東北中央自動車道「山形上山IC」を下車

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#1温泉とは?

絶景の露天風呂や天下の名湯と呼ばれる湯に浸かったところでまったく興味がわかず、30秒で湯船から出てしまっていた、若かりし日の私。それが歳を重ねるにつれて温泉の魅力にハマり、「1泊2日ではもの足りない。最低でも2泊してゆっくり入浴したいし、古くからニッポンに存在した湯治文化が伝えてきた『七日一回り、三回りを要す』という長逗留をしてみたいなあ」と願うようになった。

マグマや地熱によって温められた天然のぬくもりを体で浴びること。それをドラマチックに表現すれば「地球のチカラに身を委ねる快感に目覚めた」ということであり、もっと単純に言ってしまえば、「自分も歳を取ったなあ」ということになるわけだが。

温泉は知れば知るほど面白い。やがて泉質や効能以上に、いつしか「どのように湯が供給されているか」に興味を持ちはじめた私は、温泉には実にさまざまな形態があると知った。

温泉施設の所在地に源泉があるのが当然と思っていたのが、別の場所にある源泉を引湯管で引く温泉地もあること。源泉から浴槽に温泉をそのまま流す「源泉かけ流し」に対して、供給する湯量をコントロールし、さらに不純物を取りのぞき、ろ過したものを再利用する「循環式」が想像以上に多いこと。それらは旅館の規模や浴槽の数、源泉の湧出量などに左右される場合が多いなど、理由も多岐にわたること。また当然ではあるが、源泉が熱すぎるならば加水するなどして入浴できる温度まで冷まし、逆に泉温が低ければ加温する。加水せずに時間をおいて冷ます場合もあれば、加温せずかけ流す「ぬる湯」も存在する。

そもそも、地中で温められる温泉はそもそも無色透明で、地表に噴出した瞬間から空気に触れて酸化し変色する。そして酸化が進めば湯が劣化し「鮮度が落ちる」ことになる。最も理想的な状態は「噴出した瞬間の湯に浸かる」こと。地球のエナジーを目いっぱい浴びたい私も、つい最近になって、温泉天国ニッポンの中でも極めて稀な「自然噴出」「足元湧出」温泉に大きな興味を持つようになった。

蔵王温泉の名物・大露天風呂。7つの源泉からかけ流す贅沢な温泉(冬季は閉鎖)。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。