未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
188

『旅の思い出』編 船乗りたちの栄枯盛衰物語 江戸時代から続く「宿根木」を歩く

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.188 |25 June 2021
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#3かつての船大工の技術の結晶

廃校を利用した佐渡国小木民俗博物館では、千石船を見ることもできる。

こんな海沿いの場所で、打ち付けられた木の板が江戸時代からおよそ200年も残っていることがそもそも不思議だった。

そこで村のあちこちに掲げられた解説パネルを読んでみると、「宿根木の家屋にはかつての船大工の技術が凝縮されている」とある。どうやらここは漁村ではなく、かつての船乗りたちの集落だったようだ。しかも、家の材料には造船用の材木もよく使われていたらしい。だから家が通常よりもずっと長持ちしたのだろう。

さらに気になったのは、よりにもよって、なぜこのような地の果てみたいな場所に集落ができたのかということだった。私からしたらまったく便利には思えない。
すると、「そんなあなたの疑問に答えますよ!」と言うかのように、集落の歴史を説明する看板が燦然とあらわれた。
それを読むと、ふむふむ、なるほど、と腑に落ちた。
実は不思議でもなんでもなかった。
ここは遡ること江戸時代、「廻船」と呼ばれる船の寄港地だったのである。

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