新潟県佐渡市宿根木
はるか江戸時代、頑丈な船を作り、大海原に飛び出していった商人たちがいる。日本中を旅し、多くの富や文化を故郷に持ち帰った。こうしてでき上がったのは、迷路のような路地と水路、そしてユニークな屋根や外観を持つ建物が織りなす風景。どこにもない街並みと船乗りたちの栄枯盛衰物語を探しに、佐渡島の宿根木を訪ねた。
最寄りのICから【E8】北陸自動車道「黒埼SIC」を下車
最寄りのICから【E8】北陸自動車道「黒埼SIC」を下車
タイムトラベルをしてみたい。
多くの人がそんな願望を持っているのではないだろうか。そうじゃなければ、こんなに多くのタイムスリップものの物語が次々と生み出されるわけがない。映画『バックトゥザフューチャー』に『クリスマスキャロル』、漫画では『ドラえもん』やドラマ『JIN -仁-』。主人公たちは、大きく時代をさかのぼったり、はるか未来にいったりと忙しい。
とはいえ、21世紀も1/5が過ぎた現在も、まだタイムトラベルの技術はまったく開発されそうにない。そう、だからわたしたちは旅に出るしかない。
失われた時代の風景を探しに。
今回紹介するのは、佐渡島にある宿根木という集落である。そこは江戸時代に、船と共に生きた人々が残した風景だ。よく旅の記事なんかで、「タイムスリップしたような」という枕詞がつく場所はたくさんあるけれど、宿根木の風景はそのどことも似ていない。他では見ることができない建物が織りなす風景がここの魅力である。